2016
07.17

さよならよしこさん

よしこさんは、私の大切な友人だった。

誉れ高い美人さんで、
米寿88歳を迎えた翌日、亡くなった。

よしこさんは良家に嫁いだものの
若くして夫に先立たれ、
続いて自慢の長男を事故で失った。

彼女に似てハンサムだった次男も一昨年亡くし、
彼女に残されたのは、
嫁と孫2人。


カラッとさばさばした人で、
悲しい顔を
誰にも見せなかった。

他所から嫁いで来た彼女は
この土地で苦労の連続だっただろうに。

いつも飄々と、淡々と生きた。

会えばいつも言わずにはいられなかった。

「よしこさん、相変わらず綺麗ねえ。」

彼女は必ずこう言った。

「ほんとにもう、やだねこの人は。
いつも私をこうやってからかうんだから。」


私は彼女を子供のころから知っていたが
彼女は昔から、
私を子ども扱いしたことがなかった。

歳はずいぶん離れていても、
私たちは、普通に友達同士だった。

永遠の眠りについたよしこさんは
穏やかで安らかな顔をしていた。

88歳の眠れる森の美女のように。


私はこうして泣いているけれど、
よしこさんはきっと、天国でも
「あら、来ちゃったわ」なんて、
飄々としているに違いない。



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