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トリツカレ男

先日、20代と50代の男性が2人、
「この本、良かったですよね。」
「ボク、この人の本大好きなんですよぉ。」

女子トークばりに語っていたのをじっと聞いていた。

「トリツカレ男?」

無題

トリツカレ男 (新潮文庫)
いしい しんじ (著)


本の帯には、「佐藤健さん大推薦!『男の中の男』とは何かを主人公に教わった。」とある。
ラブストーリー、だという。100%の。

忙しい最中、読んでる場合ではなかったが、あっという間だった。

童話?寓話?
なんでしょう?
ちょっと謎があったり、
ラブストーリーには間違いないんだけど、「love」の意味が広義な気がした。

嫌な奴は出てこない。
主人公ジュゼッペがどんなに変わっていようと、町の人々は皆彼を愛している。

色んなものに夢中になり、尋常でないほど凝ってしまう男。
彼がトリツカレた数々のものは、話が進んでいくほどに、うまくかみ合っていき、
愛した人の心を救う。

自分がトリツカレていたはずの男が、いつしか憑りつかれていた、というちょっとしたひねり。

愛は、無償。
愛する人が気が付かないところで、その人を思い、行動する。


この数週間、私は何しろ、しなくてはならぬあれこれに追われていた。

チケットはあるのに、スーツケースは空のまま。
何の準備もできていなかった。

休暇を申し出たのさえ、出発前日。

疲れがピークに達していたので体調もすぐれず、
友人にはヘタレメールで「もし行けなかったらごめんね」と書く始末。

行って帰って来れたのが奇跡のようだった。

家に戻り、宅急便で旅先から送った荷物を開けた。

その時、ふと、相手にそれとは気づかせない深く、優しい「トリツカレ男」の愛をそこに見た気がした。

スーツケースには、友人達が気遣ってくれたお土産が沢山入っていた。

平日に出発した私達がやっと休暇を取ったのと同じく、忙しい彼女達も、仕事を休んで待っていてくれた。

本当に来られるのかどうか、ギリギリまでわからない私たちのために、食事の予約を取り、舞台のチケットを用意し、他の友だちにも連絡して、待っていてくれた。

ほんのわずかな時間を、共に過ごすために彼女たちがさりげなくしてくれたどれもが、実は大変なことだった。
大変だとは思っていなかったも知れない。
それが愛、だから。

ペチカがトリツカレ男、ジュゼッペの本当の姿を知っていき、彼への愛を自覚するまでは走るがごとき筆致だった。

与えられた愛情に気が付くのに時間は関係ない。
一瞬のうちにすべてを悟ることだってあるのだから。


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Comments 2

名無しさん  
No title

しばらく更新されてなかったので勝手な心配していました。良かった... 毎日楽しみにしています。どんな内容であれファンです。

2015/04/09 (Thu) 10:08 | EDIT | REPLY |   
mikaidou  
ありがとうございます

コメント、ありがとうございます。

こんな過疎ブログを楽しみにしてくださる方がいらっしゃるなんて、ありがたいことです。
とてもうれしかったです。
ありがとうございます。

2015/04/09 (Thu) 22:47 | EDIT | REPLY |   

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