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知られざるウイスキーの世界

『現代のマッサンたち~知られざるウイスキーの世界~』
NHKBSプレミアム 2.26(木)22:00~

もはやドラマは先が見えてしまってつまらないので、マジメに見ていない『マッサン』だが、
これは見ておこうと思ったら、意外に真面目に作ってあって驚いた。

私がウイスキーを知らないがごとく、多分作り手もそんなに詳しくはなかったのだろう。
丸々1時間の番組が2時間にも思えたほど、内容は多岐にわたり、冗長で、しかも結論はぼやけていた、と思う。
でも感想はと聞かれたら、良かったよ、としか言えない。


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連続テレビ小説「マッサン」は、国産ウイスキー開発に心血を注いだ竹鶴政孝と妻リタの半生を描いて好評を博している。それから100年近い研鑽を経て、いまや日本のウイスキーは世界5大ウイスキーのひとつに数えられ、国際的な賞を数多く受賞するに至っている。現代に生きる“マッサンの後継者”たちはどんな思いを込めて、ウイスキー作りに挑んでいるのだろうか。
そして、製品作りに長い歳月が必要なために新規参入がほとんどなかったウイスキーの世界に、この10年、新たな挑戦者が次々と登場している。『マイクロディスティラリー(小規模蒸留所)ブーム』と呼ばれる動きである。そのブームを担う“21世紀のマッサン”はどんな戦略で製品を世に送り出しているのか。本場スコットランドと日本の作り手たちをめぐり、その熱い思いを描くとともに、その製造プロセスを化学的分析もまじえてつぶさに見つめることで、琥珀色の風味がどのようにして育まれるのか、その秘密を紹介する。



『挑むのは、時間という壁』というナレーション通り、どんなお酒より時間のかかるウイスキーに挑む人々を番組は次々に紹介していく。

マッサンの挑戦がいかに困難を極めたかは、ドラマにも描かれてはいるが、やはり理解していなかった。

スコッチ、アイリッシュ、アメリカン、カナディアン、そしてジャパニーズ、これが、現在の5大ウイスキーの産地だそうだ。

大阪と京都の間にある山崎工場でウイスキー作りが始まって90年。
初代工場長マッサンから数えて20代目の現工場長がウイスキーができる工程を説明する。

仕込み→発酵→蒸留・・・ここでドラマでも登場したポットスチルが出てくる・・・
初めて聞くミドルカット→そして熟成に至る。

カメラはスコットランドのキャンベルタウンへと移る。
かつてマッサンはエリーと共にこの街に住み、当時30ほどもあった蒸留所の中でも最大だったヘーゼルバーン蒸留所でウイスキー作りを学んだそうだ。
今では更地になっている蒸留所跡だが、この街は今でもウイスキー作りの街であるという。

更にカメラは海を渡る。向かった先はスコットランドの西側にある『アイラ(アイレイ)島 ISLAY』。
スコッチの伝統をもっともよく伝える場所として紹介されている。

いつも楽しみに読ませて頂いているブログの主様がこの島(NHKではアイラ、シカ様はアイレイで呼ばれてましたが、同じ島ですよね?多分?)の旅行記を書かれていたので嬉しかった。

島の一軒のバーで、ウイスキーを楽しむ人々のテーブルには、何も食べ物が乗っていない。

後ほど語られる、日本人はどんなお酒も食事と一緒に飲むので、楽しみ方が全く異なるという話。

島の人々はウイスキーの香りを大切にしているから食事は一緒に取ることが少ないという。
独特な風味を好む。

なので飲むのはストレート。グラスに氷も入ってはいない。
アルコール度数を弱めるために、ほんの少し水を足す場合はあるらしい。

ここで一瞬、オチは日本の『ハイボール』かと思ったが、最後まで番組は『マッサン』目線を貫いた。

この島の8つの蒸留所。
今もピートを燃料に使う昔ながらの方法が取られているそうだ。

ブルックラディ蒸留所ではウイスキーへの愛情あふれるブレンダ―が出てくる。
敬愛するダイアナ妃の名を付けた樽を前に、この樽だけはずっと取っておくようにと後継者に言う。
自分が天国へ行っても誰にも譲らず天国にも送ってくれ、と。

ウイスキーの熟成過程には謎も多いと、分析を行う研究所も紹介されていた。
人の手、舌で培ってきたものの正体を明らかにするのだ。

1890年代にはスコッチウイスキーの正式な定義すらなかったという。
第一次世界大戦中の1915年、最低の熟成期間を決めたという。
最初は2年、それから3年に。
年数が増し、『天使の分け前(ウイスキーが熟成の過程で少量ずつ蒸発していくこと)』で減った分、樽の中のウイスキーには何が与えられるのか。

研究所で使われたのは樫樽である。
樫樽の中で、それまでなかった成分が増える。
中でも重要なのが
・エラグ酸(草や木の香りの成分)
・バニリンと、バニリン酸(甘さになる成分)

特にバニリンとバニリン酸はバーボン樽に含まれ、バーボン樽を使ったウイスキーの熟成に深く関わっているという。

でも結局のところ、分析はできても、同じ酒を同じように作ることはできない。
同じ樽は一つとしてなく、同じ味の原酒も二つとない。


荒涼とした土地。
ここで長い時間をかけて作られた酒を日本に持ち帰り、日本の土地で作ってみようと思った竹鶴氏の夢は、大きかった。

今、日本のウイスキーは国際的な賞をいくつも受賞するようになった。
世界一、とも評されると番組では言ったが、本当だろうか。

私は酒飲みではないが、日本酒も、焼酎も、流行に乗せられ、破壊されたものもあると思ってきた。

特に『チューハイ』の功罪と、銘柄によっては焼酎の値段を法外なものにしてきたバブルの名残りには今も居酒屋に行くのが嫌なくらいだ。

昔ながらの造り酒屋で製造される酒のうまいこと。
大手がぶち壊してきたものを、伝統を守ることで繋いだ人々もいる。

番組ではここでようやくニッカウヰスキーの余市工場が登場する。

スコットランドには100近いウイスキー蒸留所があるため、それぞれの原酒を交換し、ブレンドすることもできる。
日本のウイスキーは蒸留所が少ないため、個性のあるウイスキー樽を沢山自社で持っている必要がある。
原酒のバリエーションは多いほど良い。
ブレンドした酒の完成度が高まる。

先ほども書いたように、この番組が『ハイボールの流行』に足が向けば、すぐにテレビを消すところだった。

日本では食事と共に飲まれるウイスキー。
これを日本のウイスキー会社は、『薄めても、味が割れてこなかったり、バランスが崩れない進化をさせた』
『邪道とも思える飲み方に応え続けた努力が、今、世界一の評価を手繰り寄せた』番組は淡々とそう述べるに留まった。

ここからウイスキーの作り手にも世代交代が進んでおり、個性ある小さな蒸留所ができ始めているという話になっていく。

話はアイラ島に戻り、日本の小規模蒸留所(マイクロディスティラリー)の話へと進む。

小さな会社で個性の際立つウイスキーを作りたい、という秩父の蒸留所のオーナーの話はおもしろかった。

マッサンのごとく、造り酒屋の息子として生まれたが、実家は倒産の憂き目にあう。
その時廃棄されるところだった実家のウイスキーの原酒を引き取り、サラリーマンを辞め、秩父に小さな蒸留所を作ったという。
そこで作られたウイスキーは、海外でも高い評価を受け、賞も受けた。
だが実家の残した原酒もいつかは底をつく。
そのための原酒作りに、このオーナーも苦心している。

これからのウイスキー、というところで番組は最後にドラマ『マッサン』に戻る。

「自分たちの作ったウイスキーは、どんな味になるのか、そのウイスキーはどんな世の中に出て行くことになるのか、答えはわからないけれど、やるべきことは、目の前にある。」

琥珀色のウイスキーの映像と共に番組はこう締めくくった。



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Comments 2

シカ  
アイラ島

はい、Islay のことです。今、音声ガイドで確認したところ、アイラが正しいようです。お恥ずかしい限りです!

2015/03/11 (Wed) 09:57 | EDIT | REPLY |   
mikaidou  
Re: アイラ島

シカさま

コメントありがとうございます。

シカさまのブログを読んで描いていた島の景色を、まさかテレビで見られるとは思っていなかったので、つい嬉しくて書いてしまいました。

恥ずかしいのはこちらの方で、カズオ・イシグロの本はまだ読んだことがありませんでした。
初期の作品は特に面白そうなので読んでみたいと思います。

2015/03/11 (Wed) 20:24 | EDIT | REPLY |   

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