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福は内

夕べ、とっぷりと日も暮れたころ、そういえば豆まきの豆がなかったことに気が付いた。

夜道をスーパーへと歩く途中、暗がりにぼうっと浮かぶように、もう白梅の咲いているお宅があった。

思い切り寒いのだが、やはり春は近い。

スーパーで一番賑わっていた『恵方巻』コーナー。

別名『丸かぶり寿司』も、今年は小型化が進んでいると見た。

世の中のニーズに敏感なことといったら、少しはテレビ局も小売業を見習えばよいのに、と全然関係ないことを考えながら豆を探す。

が、見当たらない。

店員さんの案内でようやく見つけた豆は、鬼のお面もついていないごく普通の煎り大豆であった。

売り切れたのか、実入りのいい寿司が主役に変わったのか、何しろピンクや白の甘いお豆すら混じっていない、ただの大豆を買うこととなった。

家に帰る途中、近所から聞こえる『福は内、鬼は外』の声。
可愛らしい子供たちの声だ。

考えてみると、オットは残業、息子は塾で、家に帰っても私一人。

豆類に目がない私は、豆まきが好きではなかった。
特に『福は内』をやった後の、床に散らばる大豆の片付けが大嫌いなのである。

昨日は色々なことが重なって、考え事も多かった。
ストレスはいい具合に溜っている。

『よし、今年こそやってやろうじゃないの』

不意にムラムラと湧き上がる感情を抑えられず、早足で家に帰った。

『好きな食べ物を投げる』という行為そのものが嫌だった私だが、ついにやった。

外から丸ミエなので家中の明かりを消し、窓という窓を開け放ち、口の中で『福は内、鬼は外』と呪文を唱えながらありったけの豆を一人でまいた。

いや、渾身の力でたたきつけた。

ふん、鬼め、参ったか。

あばよ!


鬼退治に特化した一人きりの豆まきではあったが、なに、うちにはちゃんと福の神がついている。


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