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卒業式の鬼

卒業式に何を着ようかと、これからのシーズン考える方もいらっしゃると思う。

私も3年前とは明らかに違ってしまった体型に、んんんんん、と悩む。



・・・卒業式といえば、必ず思い出すことがある。

中学校の卒業式。

そこそこ楽しかった思い出もあり、最後の仰げば尊しでは涙の一つもこぼす予定だった。

ピアノ伴奏が始まって、皆が歌い始めてすぐのこと。

後ろの方から場違いな
「おおおおお~~~~ん」
「おぉーーん」
という鳴き声がする。

いや、あれは泣き声、人の声。

「だれ?」

皆が振り向き、ざわめいた。

人目もはばからず大音響で泣いていたのは、番長の母だった。

当時はまだそんな立ち位置の子がいたのだ。

彼は学校の「おもて番長」だった。
番長は、実は優しい男子だと皆知っていた。

学校の「おもて」として身体を張った結果、問題を起こしたというだけだ。

仁王立ちで泣いている番長の母を見て、
誰かが言った。

 「泣いた赤鬼」

「仰げば尊し」どころではない。
くすくす笑いが、伝染して止まらない。

「赤鬼」は、その息子をずっと見守って来たお母さんだった。


可笑しくて笑いながらも、15の私でさえ、その時思ったものだ。

「ああ、この人は、ほんとに息子に苦労したんだな」



その時一緒に笑った同級生の一人が、自ら命を絶ったと聞いたのは昨日のことだった。

あれから数十年が経ち、今どこかで出会っても、面影もないかもしれないクラスメイトたち。

様々な思いが蘇る中、私も息子の卒業式を迎える。


子供の卒業式は、子供だけの卒業式ではない。

私は、あんな風に手放しで、人目も気にせず大泣きするほど真剣に子供を育ててきただろうか。

どこか醒めた母親だと自覚がある私は、せめて赤鬼の母の「赤」の色が、ほんのわずかに入ったジャケットを着ることにする。




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