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カーテン

さて、ポワロ最後の事件、「カーテン」。

昨日、この重たい事件を見た後、Dずにーのハロウィンなんか見ちゃったわけである。

クリスティが家族に遺産を残すため、とも言われているが、前もって書かれて、周到に準備されていた一作。

ポワロがヘイスティングスに最後の手紙を残したがごとく、アガサも世間に向けて、自分の最後の言葉を残したのだ。

最後にポワロがしたことについての是非。

あの「オリエント急行」からもう一歩踏み込んだ。

「人間心理」について、描き続けた果てに行きついたのは、「手を下すことすらない殺人」。

昔読んだこの「カーテン」はただ重く、ポワロとクリスティが重なったことだけを覚えている。
あれほど「うんざりしていた」ベルギーの小男に、彼女は究極の犯罪を示し、その解決を託したのだ。
丁度同時期に延々と読んでいた清張や横溝にはなかったものが、そこにあった。
何か哲学めいたもの。犯罪の向こうにあるものを追及してやまなかった推考の果て。
私はこの二人の作家に関しても、当時出版されていた本はことごとく読んでいた。
スケートと同じで、延々と読み続けなければ見えてこないこともある。

松本清張の「社会派」と言われた犯罪の温床となった貧困や社会悪。
横溝の描いた日本の地方に蔓延る陰惨さ。
推理小説という分野を大人の喜びそうなエロスと切り離せなかった彼らの小説は、私にとって、ついに純粋な「推理小説」にはなりえなかった。
男性による男性のための、そして文庫本を廉価で数多く売り、テレビや映画化のための本として理解するしかなかった。

彼らに見出せず、クリスティにあったもの。
人間そのものに対する深い洞察とそれでも溢れてやまない愛情。

ポワロは生涯独り者だったが、チームポワロ、といえる人間関係の中にいた。
探偵にも、救いがあった。
ユーモアがあった。

くすぐりがあってこそ、生きるもの。

それにしても、ポワロの魂は神によって許され、安息しているのか。
そうであってほしいと、まるで友人に対するがごとく、願わずにはいられない。





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