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節がある、ということ

これ、長いです。

私が一人になれる時間は、主に車の運転中。
リラックスしたい時の定番は、「アグネスキムラ」さまの音楽になっている。
晴れた日も、雨の日も、急いでいる時でさえ、この方の歌声はまるで木陰のよう。
じっと聞いていると、いつも思い浮かぶのは南国の樹木。
大地にしっかりと根を張り、豊かに海風をはらみ、包み込むようにさわさわとその緑の葉は人々を癒す。
樹木の豊かさ。
なぜ木なのか?

そう思ったとき、ふとこの画家の絵を思い出したのだ。



絵本「かさ」
言葉はなく、絵だけで語る、絵本。
モノトーンに赤い傘がひとつだけ。
少女が赤い傘をさして、お父さんを迎えに行く駅までの街並みがオシャレ。
わかる人にはこれがどのあたりの景色なのか、わかってしまうので、また楽しい。
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この絵本、動物たちが商店街でお買い物をするのだ。
そのお店がまたとてもオシャレで、動物たちも気取っておすまし。
太田さんの思い出が、街並みにひそませてある。

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驚きだった。この挿絵が日本人の手によるものだなんて、思ってもいなかった。
翻訳されたヴェルヌの小説だから、挿絵も元の本と同じだと思っていたのだ。
というくらい、素晴らしい。
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これらの絵本の挿絵は、すべて太田大八さんの筆によるもの。
あまりにも著名で、多作で、あらゆる分野の児童書、絵本でその挿絵を目にしてきた。
本の中身によって全く違う画家が描いているような筆さばきに、これまで太田大八という画家そのものについて、あまり考えてこなかった。
驚くほどレトロであると同時に、モダンで新しく、そして、無国籍。
特にこの絵本など、とうに日本人を超越した一冊。
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さて、この表紙の画家と上を描いた画家が同じ人だなんて、驚きではないだろうか?
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大好きな絵本「たのきゅう」。私はこの落語が子供のころ大好きだった。
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太田さんの日本の昔ばなしの挿絵は、まるで日本画に用いるような、「一筆」の力強さが魅力。
海外の物語の挿絵の時とはこうまで違う表現ができるものかと、また驚く。
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この「ながさきくんち」。そのタッチには他の昔ばなし絵本での太田さんとはまた違う緻密さと大胆さが惜しげもなく披露されていると思う。間違いなく力作だろう。
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太田大八さんのプロフィール、うろ覚えな記憶では、父君の仕事の関係で、大阪で生まれ、ロシアで3歳まで育ち、10歳で東京に転居するまでの7年ほどを過ごしたのが長崎県の大村市だったと思う。
その大村の海辺で過ごした幼少期を描いた「だいちゃんとうみ」は、太田さんのインタビューの中でも、思い入れのある一冊として語られている。
この「だいちゃんとうみ」あたりの絵が、ちょうど太田さんの和と無国籍の中間あたりに位置するかもしれない。

多彩な画法を駆使して、何篇もの詩にそれぞれ違ったタッチで見事に挿絵を施したこちらの詩集。
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なぜ今になって、この人の描く絵にこんなに惹かれるのかが不思議だった。
そしてなぜ、アグネスキムラさまのあの声と、私の中でシンクロするのかも。

そして「樹木」に戻るんでした。
アグネスさまの歌声にも、太田さんの絵にも、そして樹木にも「節」がある。
私にはこの「節」が、パンチとなって効いているのだと思う。
アグネスさまの歌声の深さ。
太田さんのくっきりとした筆運び。

ぺらん、と薄っぺらいものではない。
年輪を重ねていなければ出てこない。
けれどシンプル。
そうして、「節」に思い当たった時、アグネスさまのブログで見つけた「ホレホレ節」の文字。

「ホレホレ節」は、ハワイに渡った日系1世が、農作業の辛さを紛らわせるかのように歌い継いだ「民謡」だという。
アグネスさまの中に、ハワイアンを歌う土壌があり、そこに「ホレホレ節」という木が育ったのではないかと思う。
「ホレホレ節」を歌うには、覚悟も迷いもあったようにブログに書かれていた。
その謙虚な気持ちで歌われる歌こそ、尊いと思う。

アグネスさまの歌も、太田さんの絵も、力強く暖かく、包みこむ懐の深さがある。
この力強さこそ、アクセントをつける「節」として、民の心を映す芸術を産むのかもしれない。










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