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「初心者には見せる」

週末はほとんど徹夜で仕事の準備に追われ、撮りためた番組もろくに見ないままだったわ。
今朝になってやっと見たのが「NHKBSプレミアムシアター」マリインスキー劇場公演バレエ「シンデレラ」。

出演:ディアナ・ヴィシニョーワ(シンデレラ)
ウラディーミル・シクリャローフ (王子)
エカテリーナ・コンダウーロワ(継母)
マリインスキー・バレエ
指揮:ワレリー・ゲルギエフ
振付:アレクセイ・ラトマンスキー

ロシアのサンクトペテルブルクにあるマリインスキーバレエ団がチュチュではなく、カジュアルな衣装で「シンデレラ」を踊るのよ。

これ、本当に面白いバレエだったわ。ソト子の、リプの、そしてラジ子のエキシがあんなに面白くて素敵なのも、こういうお国だからなのかしら?
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舞台演出はシンプルだけど、舞踏会の衣装、赤と黒が活きてたわ。
でも、どうしてもあの王子とシンデレラがすれ違う階段といい、ブロードウェイの匂いが。
継母役をはじめ、舞踏会の女性の衣装はまるで「シカゴ」のキャサリン・ゼタ=ジョーンズですか?
それに比べてシンデレラはあまりに純粋無垢で繊細な、そう、「君に届け」の爽子のような。
ああ、「君に届け」は、ある種シンデレラストーリーだったのねと思いながら見てたんだけど。
最近のディズニーやバービー、実写のアリスに白雪姫なんかのお姫様たちばかり見てると、このタイプのシンデレラが逆に新鮮。
時に繊細すぎてエキセントリックにさえ見える。ああ、ものの例えが書いてて恥ずかしいほどだわね。バレエにお詳しい方、すみません。冒涜してるんじゃないんです。教養がないだけなんですのよ。ほほほ。

これはマイム。無言の芸術。
美しい心は美しい動きで。醜い人間はバランスを微妙に崩して踊り、魔法使いはともかく、妖精たちは少しオートマティックに。
王子とシンデレラのバレエのみが生身の人間の美しさを見せるように。
とても、わかりやすい。
でも、最後のシーンは、? これ?
うーん、深いわ。

バレエに関して、私は子供と同じだ。踊る真似事をしたことがあったとて、素人なのだから。
これくらいわかりやすくなければ、私になど理解できない。
ふと、思い出した。
先日同僚に「それは違う」、と言われたことがあった。
私は全くの初心者を相手に「explainしなくてはならない」と言ったのだ。
この仕事の場合、「presentation」するのでもなかった。
ところが彼は言ったのだ。「こんな時はexplainじゃなくてshowと表現するんだ」
私がしようとしていたことに対して、「show」はないだろうとその時は言い返したのだけれど。
そんなに単純じゃないわよ、と思っていた。

結果として、正しかったのは彼だった。
初心者に「説明」はいらない。ただ、わかりやすいものを「見せ」れば良かったのだ。
言葉で説得できない相手ならば、見せることには何倍もの技術がいる。
単純な英単語の使い分けの話ではなかった。この二つには大きな違いがあった。
私があまりに未熟なために、相手がきちんと見えていなかったのだ。

「シンデレラ」を見ながらつくづく、言葉を使わない表現はそれが的確ならば万人に通ずるのね、と思った。
子供にも、子供のような初心者にも。

「灰かぶり」のシンデレラの薄いグレーの衣装。王子には真紅と白。
品のない継母には極彩色の大きな花柄。
衣装の色でさえ雄弁。

言葉で説明しない分、その表現は的確でなければならない。
その表現が確かなものかどうかは、見る側にもよるのかもしれないけれど。
人は、それぞれなのだから。
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でも、浅田真央の「白鳥の湖」と、ヨナの「ジゼル」。
「その演技者なりの」というのはあるかもしれない。
それでもはずせないキモ、というものもあると思う。
浅田真央は王道を行った。わずか数分の間に、贅沢な舞台の一幕を氷の上で魅せた。
その一方で、ヨナのキモ、をはずしたジゼルにはもはや「見せること」さえ放棄したのではないかと思ったものよ。
ジャンプの種類、スピン・ステップの技術、エッジの使い分けなぞいまだにわからない。
そんな「初心者」にも「浅田真央の白鳥」が腑に落ちてしまうのは技術の身体の上に冠をいただいた表現があったからではないかしら。

ロシアの斬新でいて決して芸術性を損なうことのない「シンデレラ」を見ながら、あれこれ思ったことでした。
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