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『怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか』

『怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか』黒川伊保子/新潮新書

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言語学、811音声、音韻の本ですね。

ものすごく面白くて、でもざっくり説明できない程度には難しい。

聖母マリアのM音のまろやかさ。

赤ん坊が発する完璧な英語ネイティブスピーカーのM音。

著者はことばの音の潜在意識を追求する、元はAI研究者です。

『楽器の音や色や匂いと同じように、子音Hを聴いて感じる印象の質、母音oを聴いて感じる印象の質もクオリア(印象の質、意識の質)なのであるというのが私の説の前提』
58ページ

この『クオリア論』で言えば『言葉はこの世で1番短い音楽』だと言います。

『科学、鉄道、銀河、銀座‥‥昔も今も、男たちのロマンを掻き立てる単語は、濁音+ブレイクスルー系清音のみで構成されている。』

カタカナだとわかりやすいのですが、

「カガク」、「テツドウ」、「ギンガ」、「ギンザ」
こういう「音」が男性のロマンを掻き立てるそうなんです。

例をあげればガンダムがシャンダムだったら、男子はこんなにガンダムが好きだったか?という話なんですが。



ブランド名としての『キリン』のイメージが『爽快感・キレ』で突出しているのは、『キリン』がビールなどの清涼感のある飲み物と直結してイメージとして脳内に残っていること、それプラス『キリン』という言葉の響きそのものが持つ音のクオリアの為なんだとか。

『私たちはS(音)に爽やかさを感じ、Tに確かさを感じ、Hで開放され、Nで慰撫され
Kで鼓舞されている。』
47ページ

著者はことばの音から潜在脳に浮かぶイメージを「サブリミナル・インプレッション」と呼んでいます。



高畑勲さんの著書にも書いてあったと思うのですが、
日本人は漢字とひらがなを脳の違う場所に記憶しているっていうアレですね。

言語障害の中には文字を理解できなくなるケースがあって
日本人の場合脳に障害が起きた場所により症状が多岐に渡るという話が出てきます。

漢字の意味はわかるのに読みがわからない
これって、本書にその指摘は無いのですが、まさに漢字を絵のイメージで記憶してるってことなんでしょうね。
だから意味だけはわかるっていう。

これがアルファベット表記の母国語を持つ人の場合、症状は1種類しかないそうなんです。
『読めるか、読めないか』それだけ。

日本人の書き言葉に対する理解が複雑高度だという所以でしょうか。

またヒトの脳って、文字列を見ただけでもその文字列の音を聞いたように(脳の)聴覚野が活性化するんだそうです。

で、濁音が男子を走らせる(夢中にさせる)のは、男性の意識の質を刺激し、エンターテイメントの興奮を引き起こすからなんですって。

言葉を発する時の快感とも呼べる口元の感覚。
その言葉を非常に近い場所で振動と共に捉える聴覚。

子どもの頃のゴリオと周りの男子の会話がまさに濁音だらけだったのを思い出します。
あれって言ってるだけ、言ってる言葉を聞いてるだけでも気持ちいいってこともあったんですね。

音によって引き起こされる効果はそれぞれ違うけれど、どの音にもイメージがくっついている。

そこに個人の特質(主に男女差)が加わって、言葉から受け取るイメージが大体決まってくる。

怪獣については、濁音から受けるイメージ、膨張+放出+振動(生殖行動のイメージ)が男子を動かすということなんでしょうけれど

では濁音の無い「ウルトラマン」、「アンヌ」は?
この人たちの名は母音と清音でできていますよね。

これを念頭においてこの本を読み進め、
『N』音の分析から当てはめてみると、
アンヌ隊員の名前が見事に癒し系お姉さん系なのだとわかります。

ウルトラの方はちょっと違うようですが、小さな子供にとって心地よい響きでできた言葉には違いないようです。

言葉を発する源がおっぱいを吸う赤子の口元にあるというイメージが文中から匂い立つのも
著者がお母さんになった時の体験が生きてるからなんでしょう。

17年ほど前に出版された本ですので
その後の研究も読みたくなる本でした。
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