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『あたしたち、海へ』

『あたしたち、海へ』井上荒野/新潮社

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本の帯が好きで
じっくり見てから本編に取り掛かる。

帯が案外先入観になって
思っていた話と違うよね
そう思うこともあって
この本はまさにそれだった。

以下素人の勝手な感想でネタバレなのでご注意を。

最終的にこの小説は帯の言葉に集約されていくのだけれど。
でもそう単純ではない。
登場人物の視点がくるくる変わっていくのは流行りなのだろうか?

それが効果的なことも
欠陥になることもあるので難しい。

中高一貫の女子校に通う中学生3人組。

1人がクラスではじかれるようになり
2人はカーストの頂点に立つグループに組み敷かれる。

いじめがこうして蔓延していくんだな
こうやってある日突然中学生が命をたとうとするんだな

柔らかく真綿で首を絞められるような苦しさを覚えながら読み進む。

キツい表現が無い分
いつのまにか抜き差しならないところまで追い詰められてしまった主人公達の抵抗できない感じに同調していた。

彼女達が追い詰められていった時
周りの大人はどうだったのか?

なるほど辛辣だな。

作者が中高一貫校にいたとしても
女子校にいた経験は無いんだろうなと思いながら読んでいた。
Wikiを見てもそうらしかった。

問題はそこじゃないのだろうけれど。
女子中学生のリアリティーの無さに
途中で挫けそうになる。

老人介護施設で働く母親の1人と
入居者の波多野さんのエピソードから
なんとなく掴めてきた。

波多野さんのエピソードは私の母のそれとそっくりだ。

でも波多野さんの場合は痛快だ。
彼女は緑色ではなく
ピンクの髪になる。


どの世界にも
どの年代にも
間違いなくいる

誰かを責めることで
誰かを貶めることで
自分は必ず勝ち組でいようとする。
少なくとも絶対に損はしないと決めて生きている人たち。

しょうもないカースト制のてっぺんの三角の上でバランスを取る人。

今ならより一層くっきりと見える。

どれだけ歳をとっても
集団の中でいじめは発生しがちだということ。


『あたしたち、海へ』のタイトルは最初『ペルー』だったそうだ。

『ペルー』が象徴するものがあの世ではなく単なる名詞に変わる時
やっぱり安心して涙が出た。




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