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『絶望名人カフカの人生論』

『絶望名人カフカの人生論』カフカ/頭木弘樹 編訳/新潮文庫

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どうせなら、一緒にどん底まで落ちよう。
カフカと一緒なら怖くないかもしれない。

繰り返し読んでも笑ってしまうこの本。
一緒に思いきって絶望できる友達ができたら
こんなに愉しいんだな。

カフカの迷言集、と言えば良いのか
もう悩みなんか笑い飛ばすしかなくなるほど
カフカのネガティブ思考は突き抜けている。

編者、頭木弘樹氏の切り口語り口に載せられ
どうしようもない情けなさに身悶えしながら笑ってしまう。

そこにいるカフカは偉大な作家ではなく
もう1人の自分なんだから。

『ニート』で『引きこもり』はカフカにとって最も幸せな状態であって
その上『地下室のいちばん奥の部屋で暮らしたい』と愛する人に手紙を書く。

カフカは遠道を1人歩いても
『孤独さが足りない』、『さびしさが足りない』というんだから

やっぱりここは笑うところじゃないだろうか?

将来にも
世の中にも
自分の身体にも心の弱さにも
親にも学校にも仕事にも夢にだって
さらには
結婚にも子供を作ることにも人付き合いにも
果ては食べること、不眠にも絶望した挙句。

病気にだけは『現実を離脱』できる武器だと感じたようだ。



『いつだったか足を骨折したことがある。
生涯でもっとも美しい体験であった。ー断片』

p228

心の痛みより身体の痛みの方がまだマシだったらしい。
ほんと、わけわからない。
でも憎めない。



『将来にむかって歩くことは、ぼくにはできません。
将来にむかってつまづくこと、これはできます。
いちばんうまくできるのは、倒れたままでいることです。』

p 34

カフカが愛した女性、フェリーチェに書いたラブレターの中の1節がこれ。

今の感じで言えば
カフカ可愛いかよ。

つまづいて
倒れたままでいることは
本当は難しいと思うんだけど。

笑ってしまいながら
痛む胸を抱え
カフカと不安を分かち合う。

カフカ自身が自分の書いた作品の焼却を親友に頼んだにも関わらず。

遺稿を出版し
ナチスドイツの手から守り抜いた友たちの尽力。

あちこちに散らばった手紙には
出版されたものもあれば
焼かれたものも多く
カフカから手紙を送られた恋人たちも
その後様々な人生を送り。

その断片を編んでくれる人がいて。

今日も私は笑っていられる。






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