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ウルトラ怪獣のいるところ

『ウルトラゾーン』は、記念碑的作品『THE LOVE』が終わると、7話目からは途端に色調が変わります。

怪獣達がゆるい感じで喋りまくったコントは殆ど一掃され(怪獣職務質問あたりで戻って来ますが)怪獣自身は殆ど効果音くらいしか声を発しなくなります。
一気につまらなくなるのはそのためかと思われます。

『不良怪獣ゼットン』は、宇宙一強いゼットンが彼の強さを知らないヤンキーばかりの高校に入り、パシリ扱いされている話。こちらのゼットンも喋りませんが、これだけは喋らない怪獣で正解パターン。
「実は子供嫌いと噂のおばあちゃんが1人でやっている、夕方5時を過ぎると不良達のたまり場になる駄菓子屋」の前で、ゼットンがライバル校のヤンキーを次々倒して行くだけなんですけど、ゼットンめちゃくちゃクールです。
高校生だからって、ゼットンに学生服着せなかったのも正解だと思います。


『怪獣職務質問』は『不良怪獣ゼットン』と同じ「宇宙区星雲七丁目8番地」が舞台。
あの駄菓子屋近くで怪獣が職務質問に合うのですが、お巡りさんが『怪獣転校生』の先生を演じた俳優さん達(山崎樹範、津田寛治)で、すごくいいんです。
ガッツ星人、ピット星人、バルキー星人、最後にメトロン星人が職質にあいますが、どの回も怪獣が魅力的。
やっぱり怪獣は喋る方が面白いと思います。
うちのゴリオも公園にいると職務質問を受けるところをみると、きっと怪獣なんでしょうね。

7話目から『ウルトラゾーンチャンネル』という5分間コントが始まりますが、ケムール人、ラゴン、M1号の3怪獣がどれも面白くなくて、これが始ると早送りしたくなります。
同じように怪獣が出てくるのにこうも違うのが不思議なくらい、この『ウルトラゾーンチャンネル』だけはつまらなかったですトホホ。



さて、『ウルトラゾーン』後半の傑作は、シュールです。

『メフィラスの食卓』は特撮ドラマの6作目。第17話、18話で放送されています。

『THE LOVE』同様、
脚本 - 松野拓行 監督 - 田口清隆。

これも脚本、演出共にずば抜けていました。

哲学或いは禅問答ですが、なにか?みたいな。

『わかっても分からなくてもいい』くらい振り切った見せ方なのに、強烈な主軸、主張が胸に迫ります。

殆どゴミの山の狭間でテーブルを挟んで怪獣メフィラスと人間が差し向かいで食事する(主にラッキョウ食べるんですが)、それだけの話ですよ。

脚本の松野さんという方は、プロデューサーなんですね。

ゲスト俳優の登場のさせ方も良いんです。

私のようにとんと疎いものでさえ、あら渡辺哲さん、まあ穂積ペペさん、とゆっくりお顔が拝めます。

『地球?
おめえさん、地球を渡せって、‥‥‥まさか‥。
ははははっ!
オレの現住所は地球だぁ。
地球全体どこでも住処だ。
ふん、まあ、詳しくは聞かねえが、あんたも帰る場所、無くしたクチか。
地球のどこでも、あんたの好きなところに住みゃあいいよ。』



メフィラス星人と差し向かいの渡辺さん、『地球がほしい』って言ってる強面の宇宙怪獣を前にして、素晴らしい表情と話し方なんです。


渡辺哲さん演じるおじいさんに『地球はあんたのもんだ』と言われて、メフィラス星人、地球を占拠したみたいなんですけど。

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このショット、大好きで何度も見てしまいます。

ほんっとにテーブルを挟んで数人の地球人とメフィラス星人が食べながら話すだけでそれほど動きもしないのに。

手に入れた地球で、共に食卓を囲んだ他人任せで不満ばかりの青年に失望したメフィラス星人は、青年を消し去ります。

次に現れた総理大臣に、メフィラス星人は問います。

『かつてこの食卓に、世界の全てがあったそうだ。それは何だ。』


総理大臣の食べ物の贅沢さ、その食べ方の浅ましさ。
メフィラス星人がまともに見えてくるのがすごい。

メフィラス星人によって消された筈の総理大臣は巨大化し、街を破壊します。
びっくりするほど穂積ペペさんのものを食べる演技が多くを伝えます。

最後に食卓を共にするのは、赤ちゃんとその母親。

食事を共にすることで、家族の絆、食べ物の尊さ、人間の醜さ、暖かさが伝わります。

前後編合わせても20分無いと思うんですけど、重量感すごいです。

渡辺哲さん、ラストの演技で泣かせてくれます。

内容はベタだし、宇宙怪獣だし、コントの狭間の短い時間だし。

でも、これだけのクオリティを出せるものなんですね。

ウルトラQをオマージュするなら、やはりこのくらいの骨太い主張は欲しい。

『今の子供には、難しいことは伝わらないだろう』ってことはないと思うんです。

多分、逆だと思うんですけど。






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