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フォトエッセイ『悠久のとき』

写真右『月刊たくさんのふしぎ イースター島 ちいさくて大きな島』野村哲也 文・写真/福音館書店
写真左『悠久のとき』野村哲也 写真・文/中日新聞社


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舞台『風博士』をネットで検索していて見つけたのが写真家・野村哲也氏のブログだった。
始まりは遣都物件だったけれど、私の関心は全く違う方に引っ張られてしまった。
同じ舞台を観た筈なのに、自分が書いてしまったものを消してしまいたくなる程それは美しく、臨場感あふれる舞台の感想だった。

不思議で素晴らしい写真の数々。
何より一緒に綴られる言葉の魅力に引き込まれてしまった。

図書館に行くと4類自然科学の書架には生き物の写真図鑑があり、星野道夫さんが写した動物の写真集はそこにあったりする。
アラスカの写真集なら7類芸術の書架を探せば良い。

星野道夫さんの写真集がどの辺りにあるのか何故か必ず把握しているのは、星野さんの本を眺めるのが好きだったからに他ならない。

『悠久のとき』の中で野村哲也さんは星野さんを師匠と呼ぶ。
星野さんの写す世界は終わっていなかったことを知って嬉しかった。

『月刊たくさんのふしぎ イースター島』には鳥肌が立った。
モアイの写真にはきちんとその名が記され、そのモアイの立つ場所なども教えてくれる。
モアイの向こうに広がる自然の美しさにページをめくる手が止まる。
野村さんはイースター島の歴史について、教科書に載っていた説を覆していく。
一緒に冒険しているようなワクワクに気持ちは浮き立つのに、野村さんの情熱は文字の上では静かで、自分が少し恥ずかしい。

裏表紙の『モアイ・トゥク・トゥリ』の写真の味わい深いこと。



一方『悠久のとき』は南米を中心に、アラスカ、日本、ネパールを旅した著者が中日新聞に連載したエッセイを写真と共にまとめたもの。
写真にも圧倒されるのだけれど、このエッセイが信じられない程素敵。
どれ程本屋に詣でても、ここまでの文章に出会えることは少ない。
エッセイというより、時々良質な短編を読んでいる感覚になる。
各章最初の一文がとても良いからだと思う。
年齢を重ねた人々のポートレートには愛情が溢れるようで、そこに添えられる言葉もストレートに優しい。

『聖石が眠る島』の章で野村さんが発見したイースター島の『聖なる石』の話は、そのまま『たくさんのふしぎ イースター島』に繋がっている。何度も何度も火山の中に単独で入って行って見つけた奇跡。
この2冊は一緒に読んでよかったな。
写真の美しさに写真には写っていない背景が重なって、この本を読んだ夜は朝まで眠れなかった。

フォトエッセイって書いてあるし、このエッセイの質と量なのに、この本国立国会図書館のNDCサーチで検索すると748写真集で出てくる。いまだに図書分類は謎だ。


沢木耕太郎を読んだ頃を思い出してぼんやりしてしまった。

あの時は若かった。

野村さんの自然と人間と神話を繋ぐ旅の本に2020年の今、出会えて良かったのだと思う。

私はもう少しゆっくり生きて良いのだと、自分を許すことにした。


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