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掃除婦のための手引書

『掃除婦のための手引書』ルシア・ベルリン/岸本佐知子訳/講談社

ルシア・ベルリン

ー1936年アメリカ生まれ。
ー鉱山技師だった父と共に鉱山町を転々としながら育つ。
ー祖父は歯科医で祖父、母、叔父、ルシアもアルコール依存症だった。
ー大学在学中に結婚。結婚離婚を繰り返し4人の息子の母となる。
ー高校教師、掃除婦、電話交換手、ERの看護師などの仕事をしながら引越しを繰り返す。
ー1990年代、アルコール依存症から回復し、サンフランシスコ郡刑務所で創作を教える。
ー94年にはコロラド大学客員教授となる。
ー2000年に大学を辞め、2004年68歳で死去。

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モデルでも女優でもなく、これが作者だ。

この美しい人の人生の断片が描かれていく短編集。

ときに胸を突かれ、笑い、しんみりしながら。

友達の話を聞くように読んでいく。

少女の頃、おかしな家族がいて、若い母親になって、でも死と隣り合わせで。
苦難の時は続き、でも気がつくと年齢もいっていて。

最低限の言葉以外には潔く付けられない注釈。
わかる人だけわかれば良い、というくらい、徹底したマイノリティーの描き方。

シングルマザーで、アルコールに依存しながら、それでも生きてきた。
身近に起こる様々を、受けのリアクションで描いていく。



私が1番笑ったのは『今を楽しめ(カルペ・ディエム)』。
更年期『ザ・チェンジ』に差し掛かった主人公は普段歳を取ったことをそんなに気にしない。(人ごととは思えない)
でもスケート選手の伸びやかさにはっと胸を突かれたりする。(益々人ごとじゃない)
200回目の引越しでボヤッとした頭のままカーテンやシーツの洗濯にコインランドリーに行くと、そこで毛むくじゃらの男の終わったばかりの洗濯物にコインを入れスイッチを押してしまう。(これは近未来の自分か)
主人公と怒れる男、コインランドリーの店員オフィーリアの3人しか登場しないごく短い短編なのに、味わい深く、ジワジワとおかしくてたまらない。

このユーモアのセンスが手練れの翻訳によって磨き抜かれた掌編となり。
大切な友人が1人増えたような気がする。

全米も始まるのに、私の目の前には次に読む本が積み上がっている。


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バッグには映画が公開された『屍人荘の殺人』。

昨日ミルンの『赤い館の秘密』の新訳を買ったばかりなのに今日は本屋さんに頼んでいた『富士』、『日々の泡』を買って帰って来てしまう。

当分本屋と図書館には出入りはよそう、と自戒する。


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