FC2ブログ
Welcome to my blog

舞台 風博士

行ってきました。

世田谷パブリックシアター、『風博士』イブの夜公演。

20191226204801f77.jpeg

遣都君インタビューはこちら→未来を選べない若者が、未来を夢見る切なさを『風博士』間もなく開幕! 林遣都 インタビュー



【作】北村想 
【演出】寺十吾
【音楽】坂本弘道 
【出演】中井貴一 段田安則 吉田羊 趣里 林遣都 松澤一之 内藤裕志 大久保祥太郎 渡辺えり

本作の設定は、敗色濃厚となった戦時下の大陸が舞台です。
そこでは、風を読むことができるというフーさんと呼ばれる男と彼のもとに集まる人々が、迫りくる過酷な現実の中で日々を生き抜いています。
とご紹介すると、「ああ、悲惨な戦争モノか…」と思われるかもしれませんが、フーさんの周りに集まるのは、兵隊サンも含めて、風の如くそよそよと生きてきた人々たちです。
元は何やらわけあって大陸まで渡ってきたのでしょうが、フーさんを中心に、あるときはミステリアスに、あるときはユーモラスに、あるときはノスタルジックに、大陸のどこまでも青い空の下で、彼らそれぞれの人生や秘密が交錯していきます。
公式HPより



公式の紹介はこんな感じですが。
これはすごかったです。
歌うようにセリフを発し、セリフが歌になり。

仕事のために戦争ものの本を読む機会が多かった為か、戦争をこんな風に描けるのかと、衝撃でした。

綺麗事でもなければ恨み節でもなく、かといって全てを否定するわけでもない。

そっと吹くかと思いきや、熱風になったり身を切る冷たい風になって縦横無尽に舞台から吹く風に心が痛い。

でも、可笑しくて笑っているんですね。

ピー屋(小さな女郎屋)を束ねるフーさんの吹かせる風が優しい程、その場に置かれた人々の傷みが伝わってきます。

心にぐっと入りこむ歌声。戦時下の残酷な状況に、観ているこちらも時空を超えてその場に置かれる気がします。

言葉ひとつも聞き逃せない、観賞する側にとっても真剣勝負のような劇でした。

笑い程難しいものは無いのです。増してや戦時下の物語。

歌もコント(❓)もあり。

重いテーマを不思議な程青空に溶け込ませてしまうのに。

幾重にも仕掛けられた奥深いあれもこれもを飲み込むのに、こちらも知力を振り絞って集中するので時間はあっという間に過ぎます。

なのにそこに吹く風は爽やかでさえあるって、どんなマジック。

遣都沼に浸かりに行ったつもりが中井貴一さんがあまりにも素晴らしくて呆気にとられるし。
吉田羊さんにも気持ちは全部持って行かれますし。いやもう歌。素晴らしい歌声でした。
段田安則さん、渡辺えりさんのセリフはサラッと深いし。

ほんの一瞬の場面ですが、例えば広瀬大尉の段田さんと女郎梅花役の渡辺さんが其々広島と長崎出身だと語るシーン。
『あんな小さな街に爆弾なんか落ちっこないよね』早口でパッとそういうセリフが差し込まれて来るんです。

戦争を巡るコラージュを描くように話は進んで行くのですが、間に入るどの歌も歌詞字幕が舞台両側に出て来て、舞台を観ながら歌を聴きながら字幕を読みながら。
涙が溢れてきます。


そしてサチ子役の趣里さんです。

バレエをなさっていたという趣里さん。
『ジゼル』のウィリーを彷彿とさせるような、この世のものとは思えない質感。
彼女の脚に目が釘付けでした。

素晴らしかった。

趣里さん演じるサチ子に命を吹き込む存在が初年兵スガシマ兵卒の林遣都君ですが、19歳の役で違和感無しはさすがです。
それにしても、この役を演じるのは難しいと思います。
不器用に真っ向からぶつかる清らかさと未完成な部分が無ければ、嘘になってしまう。
銃で撃たれるその瞬間まで、farceとtragedyが同衾している。

スガシマ兵卒が歌うその歌詞の切ないこと。
戦うこと以外、他の人生は選べなかった。
スガシマ兵卒は今も数多く存在しています。


なんといっても、ラストシーンが1番好きでした。

普段は短編小説にふいっと置いてきぼりにされるのが好きですが。

この舞台はきちんと一緒に連れて行ってくれます。

そこが優しい。

遣都の沼にはお宝がザクザク。

カーテンコールの遣都君のお辞儀には、胸を打ち抜かれて来ました。
しっかりと客席を見て深々と、でも他の方とは変わらないタイミングで。
素に戻っても、やはり彼は視線を惹きつける人なんですね。


良いもの観られてほんと、幸せな夜でした。

20191226221543a23.jpeg


そうそう、パンフレットを読むと、『日本文学シアター』というだけあって、役者さんたちのインタビューが最後に『僕の私の好きな本』みたいになっていました。
とても読み応えがあって面白かったんです。最初から最後まで一気読みしました。
遣都君写真の少なさなんて、全く気にならない程。

20191226224225d3d.jpeg

次は渡辺えりさんがバイブルと語っていた武田泰淳の『富士』とその周辺の本を読むことにします。

関連記事

Comments 2

すーママ  

いいなあ。チケット取れたんですね。私はダメだった…ぜんぜん取れなかった…

2019/12/27 (Fri) 22:05 | EDIT | REPLY |   
mikaidou
mikaidou  
Re: タイトルなし

すーママ様

そうだったんですねT^T
先行発売も土日の良席から瞬殺だったんですが、立ち見も一杯だったとか某所に書いてあってびっくりでした。
私もクリスマスイブの平日、というだけでやっと取れたのが2階席。
SNSでは遣都ファンが何回も観ているようで、羨ましいです〜。

2019/12/27 (Fri) 22:25 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply