FC2ブログ
Welcome to my blog

高見沢みちるの野望


2019121800315654d.jpeg

『いだてん』で怪しげな占いをするバーのママは、その昔アイドルだった。
『野生の証明』で健さんと共演デビュー、『翔んだカップル』でシリアスもコメディーもできる知的な印象の薬師丸ひろ子は、歌も可愛かった。
歌から文芸作品『野菊の墓』に行った松田聖子とは好対照で、『銀幕→歌』コースは大成功だった。
だからこそ歌も演技も下手ウマな上、事務所の言いなりはイヤなの、とショートカットにした小泉今日子の新しいアイドル像はホントにハイブリッドだった気がするが、ここではまず薬師丸ひろ子だ。



「ねらわれた学園」

角川映画のアイドル路線および、大林宣彦の“大林ワールド”と呼ばれる独自の映像スタイルを確立させた作品。
薬師丸ひろ子も本作でアイドルとしての地位を確立させた。

「キャンペーンの最中に行く先々でファンが増えてくる、アイドルが誕生する過程を体験した」と大林は話している。
このため『ねらわれた学園』は「アイドル映画」時代の開幕を告げる作品と評される。

『日経エンタテインメント!』2015年3月号の特集「アイドル&女優が輝く映画」では、その系譜の始まりに本映画が据えられた。
また本作はSFのジャンルに入れられるが、アイドルが恐怖に巻き込まれるスリリングな展開と独特の陰のある映像は、その後の「アイドル・ホラー」に大きな影響を与えたとも評され、その嚆矢とも評される。


wikiより


『HOUSE』の大成功がこの映画を作らせたなら、それはそれで微妙だ。
大林監督の『HOUSE』は映画館で何度も観た。
傑作だと今も思っているが、そこにアイドル要素を入れたらこんなもの(失礼)ができたのか?

薬師丸ひろ子を最も肉感的に撮ったと勝手に私が思っているのは『里見八犬伝』。
最も魅力的だったのが『探偵物語』。
SFとして破綻していても、『ねらわれた学園』の薬師丸ひろ子も中々だ。



引越し以来3週間もネットが繋がらず、
10月には移設を頼んでいたにも関わらず『年明けくらいにはできますから』と言った「なんちゃら光」に、私はメロスの如く激怒した。

早速月額1500円も料金が安くなる会社を見つけたので、待てないので解約しますとオットに連絡させたしてもらった途端、「なんちゃら光」はその次の日、あっという間にネット回線を繋げて行った。

なんなの‥。

早速ネトフリの検索欄に『はやしけんと』と入れると、市原悦子さんと共演した「しゃぼん玉」や池田エライザがエロい「チェリーボーイズ」なんかがズラリと出てくる。

全部観たけど、何回でも観られる。
なんて素敵。

そう思いながらも、遣都の検索欄で出て来た田中圭が出ているドラマ、「伊藤くんA to E」をうっかり観てしまう。
柚木麻子原作のこのドラマ、終盤に行けば行くほど「女子校育ち」で培った作家が描く女子のめんどくさい「あるある」に胸が痛くなる。
このドラマでの田中圭のカッコいいこと。
原田マハの原作が可愛かったので観た『ランウェイ・ビート』の田中圭は、そのまま変身しなければまるで『ねらわれた学園』の手塚真を彷彿とさせる役柄だったのに。

20191218012643d5c.jpeg
手塚真さんは、手塚治虫の息子。

そう、『ねらわれた学園』の話だった。

久しぶりにプライムを開けてびっくり。
おすすめ映画に『ねらわれた学園』薬師丸ひろ子版が入って来ていた。
最強の昭和感を醸すこの映画をCSで観た時には失笑するしかなかったが、改めて観てもこれ以上(以下)は無い程の、これはすごい映画だ。

角川春樹と大林監督が薬師丸ひろ子で『アイドル映画』を作ったら悪ノリしちゃいました、という作品なのだろうけれど、もう2度と作ることのできない『昭和』が全編に溢れている。
それはもう、直視に耐えないほど。

原作者の眉村卓さんまで校長先生役で出ているし、脇役もいかにも昭和の顔が並ぶ。

『ねらわれた学園』と『地獄の才能』を原作とした少年ドラマシリーズの『未来からの挑戦』をリアルタイムで観た世代なので、私はこの映画を公開当時見なかった。

今だから思うのだろうけれど、
原作の面白さは1000分の1になっても、昭和の商業主義はこの映画である意味良い仕事を残したと思う。


何しろツッコミどころには事欠かない。


○冒頭から小学生男子が歩道橋の下から女子高校生のスカートの中を覗く。

○主人公薬師丸ひろ子は聖子ちゃんヘア的なパーマかけてブロー。校則違反。

○薬師丸ひろ子演ずる三田村由香は優等生なので、ヘアスタイルはアレなのに靴下は不自然な程ソックタッチ。(ソックタッチをご存知ない方はここらでお引き取り下さい。以下の意味がわからないと思います。)

○通学にローラースケートを履いて行く高校生達。

○水道の蛇口に口を付けて水を飲む薬師丸ひろ子。もちろんその後は男子が蛇口を取り合う。

○高校の職員室にお酒を差し入れする酒屋のハナ肇。

○眉村卓の校長先生をおかしな「おいどん」言葉で怒鳴る三浦浩一の体育教師。

○『ふんどしを締め直して』と叱咤激励する教師が、女子に配慮したつもりで『ガードルを締めなおして』と口にする。

○新入生オリエンテーションでのレオタードと竹の子族の学芸会のような小っ恥ずかしい踊り。

○新入生への強引な剣道部への勧誘。

○超能力を使い剣道の試合で好きな彼を勝たせちゃうズル。

○明らかにとんでもない格好をした峰岸徹の車に乗せられる女子高生の由香。

20191218012640278.jpeg
いやこれホントにこんな格好で登場して車の運転するから。

○休み時間に学校内の階段で缶入りカルピスを飲み、パンを食べながら駄弁る仲間と、薬師丸ひろ子の唇のup。

○静かにすべき図書館で、鋭い声で由香と言い合いになった高見沢みちるが披露するテレポーテーションに誰も気づかず驚きもしない。

201912180139073e7.jpeg
私が高見沢みちるよ。魔王子ったら健気な程悪役に徹する私より、付け焼き刃の超能力しか使えない由香に優しくって、マジ本気で学園狙ってんのか?っつーの。

○由香がBF(ボーイフレンドの略)のコウジを剣道の試合のために二階の部屋からロープを使って脱出させる。こんな時こそ超能力を使えば良かったんじゃ?と思うけど、それが昭和のエスケープ的な。

201912180144009eb.jpeg


○部屋でお酒をラッパ飲みするコウジ17歳。(ジュリーの真似か?)

○由香の寝巻きがミニの白いネグリジェ?的な。

○由香のBF『関耕児(コウジ)』の父はハナ肇、母は写真だけだが南田洋子、祖母は千石規子、一緒に住んでいるらしい店員は鈴木ヒロミツ。

○由香の両親は赤座美代子と山本耕一。お金持ち感を出すためか、家では由香も含めて皆和服姿。

○娘の由香が落ちて来た鉄筋からコウジを助けて怪我をして帰って来た夜の食卓で、母の赤座美代子が『お母さん、胸がドキドキしたわ』と言うと、父の山本耕一が『どれ、ちょっと‥』と娘の前で妻の胸元に手を。


この辺でやめておこう。

セクハラパワハラ、何でもあり。

今こんな映画が作れるだろうか?




この映画で表現する『自由』の意味は表面的なようでいて、とても人間臭い。

人に指図されるのではなく、自分達で決める。

薬師丸ひろ子演ずる由香に突然与えられた超能力は、その自由を守るためのものだったのではないか。


でもこの映画を見る限り、

赤いレオタードまで着た高見沢みちると峰岸徹の魔王子が『ええかげんな人類を変えちゃる‼️』と西新宿の高校を狙った結果。

20191218015836942.jpeg

令和の時代、高見沢みちるの野望は達成されてはいまいか?

今やねらわれた学園の生徒は誰もが塾に行き、わかりやすく反抗する代わりにネットの世界で密かに遊ぶ。

先生は優しく、保護者はお客様だ。

誰からも管理されていないと思い込まされ情報によってその考えは操作される。


高見沢みちるは、時代を間違えたのではなく、もしかして時代を導いたのではないだろうか?


関連記事

Comments 2

トガジン  
薬師丸ひろ子と大林監督

こんばんは。
初めてコメント書かせていただきます。

薬師丸ひろ子というと、私としてはデビュー作の『野生の証明』の頼子役が印象深いです。
なぜなら、私と薬師丸ひろ子サンとは同い年なのですよ。
自分と同じ年の子がいきなり映画に出て、しかもそれが日本中をブームに巻き込む大ヒット作だったことから他の女優さんにはないシンパシーを感じたものです。
でも、次の年の『戦国自衛隊』に桃太郎みたいな恰好で出てきた時は思わず笑ってしまいましたけど(笑)。

最近は母親役など年相応の役でいい味出してますね。
例えば『ALWAYS 三丁目の夕日』は子役の演技にボロ泣きしてしまったのですけど、実はそれを支えていたのは彼女が演じたお母さんの温かさでした。

薬師丸さんを見ていると、私は高校時代の映画友達のことを思い出します。
彼は常に学年5位内に入る秀才でありながら、実は私に負けず劣らぬ映画オタクでしかも薬師丸ひろ子の大ファンという奴でした。
そんな彼に先述の「桃太郎」の話をして笑いものにしたところ、本気で怒りだしてあわや絶交になりかけたことがありましたっけ(笑)。

大林宜彦監督は『転校生』『青春デンデケデケデケ』『ふたり』などで私も大好きな監督さんですが、時々実験精神が行き過ぎて「どーしちゃたんですか?カントク!」と思うくらいハジけた作品もありますね(笑)。
『ねらわれた学園』などはその最初の頃のものだったと思います。
大林監督は、最近でもご病気をものともせず映画製作に挑み続けていらっしゃいますね。
40年来のファンとしては嬉しい限りです。

2019/12/19 (Thu) 20:32 | EDIT | REPLY |   
mikaidou
mikaidou  
Re: 薬師丸ひろ子と大林監督

トガジン様

コメントありがとうございます(^^)

薬師丸ひろ子さんは最初から男女問わずファンが多い女優さんだった気がします。
これは息の長い女優の必須条件かもしれませんね。大竹しのぶさんみたいな感じで。

> 次の年の『戦国自衛隊』に桃太郎みたいな恰好で出てきた時は思わず笑ってしまいましたけど(笑)。

そうそう、あれは確かに衝撃的でした(≧∀≦)。彼女は時代物も似合ってしまう不思議な人ですね。

> 最近は母親役など年相応の役でいい味出してますね。
> 例えば『ALWAYS 三丁目の夕日』は子役の演技にボロ泣きしてしまったのですけど、実はそれを支えていたのは彼女が演じたお母さんの温かさでした。

『三丁目の夕日』、私も大好きな映画です。お母さん役がスッと馴染んだところも彼女のすごいところですよね。
いつまでもオンナが先行して見える女優さんも多い中で、可愛い年齢の重ね方が素敵です。

> 大林監督は、最近でもご病気をものともせず映画製作に挑み続けていらっしゃいますね。
> 40年来のファンとしては嬉しい限りです。

私もこの記事を書きながら監督の近影を検索していて、やっぱり嬉しかったです。
こういうイロモノ的なブログで茶化したように映画の感想を書いていると、トガジン様のような筋金入りの(尊敬の意味です!)映画ファンの方の反応は実は怖いんです。決して書いている映画やドラマをdisっているわけではないのですが、何しろ性格の悪さが書くものに出るので。
怪獣映画も大好きでCSでもプライムでもよく観ますが、京都みなみ会館の話などをトガジンさんやしろくろshowさんの記事で読ませて頂くと羨ましさMAXで、もう基本から違うと感服致しますm(__)m
トガジンさんの映画の記事はわかりやすくて映画館までひとっ走りしたくなります。『カツベン』を観る楽しみが増えました‼️

2019/12/19 (Thu) 21:25 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply