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とりあえず元気

仕事を辞めてまだそうたたないのに、会う人会う人から『顔が違う』と言われるのは何故。

人生に躓いているのだ。シワも深くなっているのだろう。



仕事を辞めると離職票なるものが届き、それを持ってハローワークに行く。

離職の理由が『体調不良』なので、一応『傷病証明書』なるものを書いてもらいにかかりつけ医のヒデキの病院にも行く。
ヒデキは循環器が専門だが、病院は普通の内科という感じ。

『で、体調は?』とヒデキに聞かれ、『気分爽快です!』と言ってしまった。

『フフン』。

年齢はいってもヒデキはどこから誰が見ても長身でスラッとしたハンサムに変わりない。
が、何しろ意地が悪い。

パサっと先日取った血液検査の結果を私の前に放った。

仕事を辞める程憔悴していた時だったので、かなり詳細な検査をしたらしい。


『いいですよ。どこも悪くない。心配だったこことここ、全く問題ないから、大きく悪いものはまず考えられない。』

ヒデキは医者にしてはちょっと変わった考えの持ち主で、各々の持って生まれた体質というものを重要視する傾向にある。
今で言うDNAそれ大事的なものだろう。

心臓の権威として若くして大病院の重職に就いたが、
本人曰く、『ボク、組織には向かないから』と町医者になった。

病気を見定める能力とその対処には定評があり、合理主義的な割り切りが潔い。
話し方はガリレオの福山雅治を思い出してもらえれば良い。
尊大ではないが、腹を割って話せる男友達はまずいないタイプだろう。


『で、どう書いてもらいたいの?』

傷病証明書のことである。

『いやその、ありのままで結構です。』

ありのまま書くから証明書のはずなのに、ワザと聞くのがヒデキだ。

意地悪く、ネチネチと確認しながら証明書に下書きを書いていく。

こんな患者は彼にとって息抜きになるのだろう。
薄い口元はずっと片側に歪んでいて楽しそうだ。



『仕事辞めれば済むことなんですよ。女性の身体はそもそもそういう風にはできてない。』

ヒデキは何年も前から私にそう言い続けてきたので、『それ見たことか』とでも思っているに違いない。


『あの、この間みたいな眼振(めまいの一種で死ぬほど怖かった)が起こると怖いので、遠出の時のために目眩のお薬も頂きたいんですけど。』

『遠出』とは、舞台とか公演を観に行く程度のことだ。
でも仕事と引っ越しで疲れMAXだった時に起きた目眩はあれが運転中だったらどこかに突っ込んで死んでいたと思う。

ヒデキは『あ、いいですよ』と鉛筆を置いてめまい薬の説明を始めた。

『ま、この実験結果は最新の研究だからね』と人さし指を口にあてて内緒でもなかろう小話を終え、得意げな顔で笑ったヒデキは何かまだ言いたげだったが、私はそこで立ち上がり、お礼を言って診察室を出た。

ヒデキの病院はいつだって混んでいる。

やっぱ、息抜きだったんだな。


待合室の女子率におののきながら、どうやら健康体らしいとホッとして、さっさと病院を後にした。





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