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つめた貝


『女はいつも自分をこぼしている。子供、男、また社会を養うものとして、女の本能の凡すべてが女に、自分を与えることを強いる。時間も、気力も、創造力も、女の場合は凡て機会さえあれば、一つでも洩る箇所があれば、そういう方向に流れ去る。女は喉を乾かしているもののために絶えず自分というものを幾らかずつこぼしていて、縁まで一杯に満たされるだけの時間も、余裕も与えられることが殆どない。

(中略)

与えるのが女の役目であるならば、同時に、女は満たされることが必要である。しかしそれには、どうすればいいのか。
 一人になること、とつめた貝が答える。誰でも、そして殊に女は、一年の或る部分、また毎週、及び毎日の一部を一人で過ごすべきである。』


『海からの贈り物』/アン・モロー・リンドバーグ著「つめた貝」より

友人から眠れないとLineが来た。

彼女の話を聞きながら、ふとリンドバーグ夫人の本を思い出した。

『海からの贈り物』は、モンゴメリの『アンの夢の家』(海辺で暮らした頃の話だから多分これ)と共に、女性であることの喜びや哀しみ、そして何度も立ち上がろうとする勇気を教えてくれた。

たった一節。

『一人になること、とつめた貝が答える。誰でも、そして殊に女は、一年の或る部分、また毎週、及び毎日の一部を一人で過ごすべきである。』

17歳で初めて読んだこの本の、この一節が歳を重ねるごとに重く実感として感じられるようになった。

友人に今必要なのもそれではないかと思ったのだ。

リンドバーグ家に起こった悲劇はアガサ・クリスティーの『オリエント急行殺人事件』のモチーフになった。
同じ女性としてこの事件に寄せたクリスティーの怒りと道徳心のせめぎ合いがこの傑作を生んだと私は思っている。

ちなみにリンドバーグ夫人は、セントルイス号と呼ばれたプロペラ機でニューヨーク・パリ間を飛び、大西洋単独無着陸飛行に初めて成功した空の英雄()チャールズ・リンドバーグ大佐の夫人。

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