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美容の苦行

鏡を見ても、シワもシミもろくに見えない程老眼が進んでいる。

それでも3ヶ月に一回くらいは、目立ってきた白髪にため息をつく。

カットだけならカットに特化した『散髪屋◯◯カット』に行けば良い。

けれどそろそろ『美容院』に行く時が来たのだ。

私は美容室難民。

半年から1年サイクルで店が変わる。

気に入っていた担当者が辞めたり他所に移っていくからだが、他にも理由がある。

余計なお世話が多過ぎるのが、めんどくさいのだ。

予約して行っているにも関わらず、まず担当者は誰がいいか?と質問される。
面倒くさいので誰でもいいと答えると、雑誌を並べた棚の前で何か選べと言われる。
美容院では眼鏡をかけられないので、いらないと言えば不思議な顔をされる。
いいじゃないか、数ヶ月ぶりに髪を染めるのだ、ゆっくり寝たい。

やっと椅子に座らせてもらうと、次は飲み物のメニューを差し出される。
うっかりするとこれが有料だったりするので慎重に探りを入れる。
ショボい紙コップに注がれたアイスティーが差し出され、
肩から色々掛けられてホッとしていると、そこからまた質問が始まる。

『今日はどうなさいますか?』に始まってヘアカラーの色の選択、髪の長さ、前髪はどうしましょう、カラーはオーガニックにしますか?トリートメントはこの中からお選び頂けます、スチームでトリートメントの浸透が良くなりますよ云々。

この上更にストレートパーマでボブも綺麗にまとまりますよときた。

もうこの辺でいい加減うんざりしてストパー以外は『ハイハイじゃ、それで』と答えてしまう。

だから嫌なんだよ。

後悔でうつむきがちになる頭をグイッと持ち上げられてカットが始まる。

初めての美容師さんの場合、ここから職業や趣味など、話題を探るべく会話の応酬が始まる。

適当に返事をしながら、思う。
何故サービスを受けにここまで来てこんなに質問され続けなくてはならないのだろう。

周りのお客さんは皆ニコニコと美容師さんと会話している。

私にはコミュニケーション能力が欠落しているのだろうか?

眠い。

もう目をつぶろう。眠ってしまえば何も話しかけられはしまい。

『長さはどうでしょう?』不意に話しかけられてハッと目を覚ます。

ハイハイ、いいですよ。

カットが終わるとカラーに入る。

ウトウトし始めると声がして、別方向からグイッと髪を引っ張られる。
2人がかりでやるらしい。
黙って寝続ける。

やっとカラー剤を塗り終えて、ここから至福の昼寝タイム。
『シャンプーしますのであちらにお移りください』
熟睡したのか、すぐに起こされた気がした。

鏡を見ると、出た!
チャラチャラした若い男子だ。

彼らが修行の身であることは私だって理解しているが、嫌な予感は的中する。

シャンプー台に乗ると、何度も頭の位置を真っ直ぐにしたいのか直される。

シャンプーが始まると、痒いのか熱いのか、またあれこれ聞かれる。
返事をすれば顔にかけられた布が落ちる。
ああ、どうしていつもこうなるのだ。

質問が終わるとにわかにガシガシとシャンプーする手に力が入る。
肩凝りマックスで頭痛もしている私にとってこのガシガシは暴力に近い。

でも布で塞がれた口ではお兄さんに向かって何も言えずにここは耐え忍ぶ。

『トリートメント、しますね』

ガシガシのシャンプーに耐えたのに、トリートメントをつけると今度は頼みもしない頭皮マッサージまでガッシガシに始まってしまった。

頼むから誰かやる気のない人に代わってくれ。

トリートメントを頭に馴染ませると、『では、次は‥』

しまった!トリートメントしたらスチームまでかけられるんだった!

この辺でバンバン椅子を叩いてギブしたいほど目眩がする。

なのに言えない。適当にハイハイ言った罰なのだ。

強力なスチームが頭を熱くして、じんじんする。

もう帰して。

数分後、ようやく頭を持ち上げられてホッとしたのもつかの間、今度は肩をガシッと掴まれる。

悪い予感は的中する。
若いお兄さんは痩せてはいても力はある。
頭皮をガシガシしただけでは飽き足らず、次はシロウトマッサージを私の鉄の肩に施そうというのだ。

もう無理。

『あの‥マッサージは結構です。』

『ハアア?』

あんた今、思いっきり『ハアア?』って言ったよね。
俺のマッサージサービス受けられねーのかよって、思ったよね?

シャンプーさえ下手くそのガシガシのくせして、あたしのガチガチの肩をシロウトが扱えば、痛すぎて血圧上がっちゃうんだよ!

心の声はそっと胸にしまい、お兄さんの舌打ちも聞こえなかったことにした。

せめてブローは違う人がやってくれるよね?

期待は粉々に打ち砕かれ、チマチマチャラチャラ髪を乾かすお兄さんの手元にイライラする。

一向に乾く様子のない私の髪を見かねたのか、髪を切ってくれたお姉さんがそこでバトンタッチ。

やっと落ち着いて髪を乾かして貰える。

仕上がりはツヤツヤのピカピカ。

うねってパサパサの髪は見違えるように生きかえった。

ああ、耐えた甲斐があった。

大枚をはたいた美容のための苦行は終わった。

また白髪が目立ち始めるまで、誰がこんなところに来るものか。

次の予約を2カ月後に抜け目なく入れさせられ、美容院を後にする。

来月はカットだけ。
いつもの散髪屋(カットに特化したところね)で切ってもらえばいい。

外に出ると既に日は暮れもう暗い。休日の半分が潰れて、ドッと疲れた。

『これから何処かお出かけですか?』と美容師さんに最後に聞かれたことを思い出した。


『アホか?明日から仕事なのにこんなに疲れて、もう食事作る気力もねーよ!』
改めて1人心の中で返事をしながら、車のアクセルをグッと踏み込んだ。

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Comments 4

ぢょん でんばあ  
私が書いたかと

こんにちは~。

今日の記事は私が書いたかと思うほどでした。

職場の先輩はマッサージを断るのに「首に病気があって、下手に揉まれると即死なので」とヘンな嘘をついた(首が痛いのは本当)ため、それ以来美容院で腫れ物に触るように扱われているそうです。

美容院って病院と同じようにカルテがあるので、要注意客は引き継ぎあるんですね。私は「男性が苦手なので女のひとにしてください」と一言言ったため、修道女みたいなオバサンと思われているようです。

2019/10/25 (Fri) 09:52 | EDIT | REPLY |   
mikaidou
mikaidou  
Re: 私が書いたかと

ぢょん子さま

> 今日の記事は私が書いたかと思うほどでした。

あはは(^o^)最近も書いていらっしゃいましたよね。
でもぢょん子さまは美容師さんと上手にやり取りしてらっしゃるとばかり思っていました。

> 「首に病気があって、下手に揉まれると即死なので」とヘンな嘘をついた

これは使ってみたい!どのタイミングで言っていいのか、難しいですけど。

> 私は「男性が苦手なので女のひとにしてください」と一言言ったため、修道女みたいなオバサンと思われているようです。

やっぱりきちんと言わないといけませんよね。
私はそれを伝えるのさえ面倒なので、美容院ごと変えてしまうんですよ。
女性、マッサージ無し、寝せてくれ、シャンプー優しく、あー!もう◯◯円カットでいいか?

2019/10/25 (Fri) 11:40 | EDIT | REPLY |   
にゃんこさんさん  

こんにちは(^^

こんなところにも難民が・・・私も同じくでした。
やっと通えそうなところを見つけたのでなんとかなりそうです。
それにしてもシャンプーまで酷いとは、諦めても寝られない(^^;
リラックスしに行ってるのに、どういうことなのかしら。
聞いた話によると、質問攻めによる美容室ジプシーは多いのだそうです。

台風やら色々ありますが、秋すっとんで冬が来そうです。
体調に気をつけて笑顔でいてくださいね。
笑ってると幸せがほいほい寄って来ますから。

2019/10/25 (Fri) 14:00 | EDIT | REPLY |   
mikaidou
mikaidou  
Re: タイトルなし

にゃんこさんさん様

あら、お仲間がここにも!

> 聞いた話によると、質問攻めによる美容室ジプシーは多いのだそうです。

よかったー。美容院と折り合いつけて生きられる人が羨ましかったんです。

> 笑ってると幸せがほいほい寄って来ますから。

はい!(^o^)真央さんのフォーマルドレス見たら免疫上がりそうです。
にゃんこさんさん様も磨きをかける秋、楽しんでお過ごしください!

2019/10/25 (Fri) 14:55 | EDIT | REPLY |   

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