FC2ブログ
Welcome to my blog

女子校育ち

去年の今頃、1人の女性が小さな本屋を立ち上げた。

観光客しか通らない路地のビル2階。

入り口も目立たない狭い本屋で読書会を開いている様子が度々SNSに載っていた。

へそ曲がりの私はこんな気取った店に行く人は少ないよなと思っていて。

同じようなコンセプトのお洒落で小さなカフェ併設の本屋は他にもあるし。

意識高い系の人は苦手。

この店に出入りしている私の知人の顔ぶれを思い浮かべても、わざわざそんな本屋まで出かける気は起きなかった。


『ライ麦畑でつかまえて』の読書会はこの小さな本屋で開かれた。

映画『天気の子』の主人公がこの本を携えてさえいなければ、今更サリンジャーを読むこともなかった。

初めてその本屋の階段を登ってドアを開けると、店の主は読書会の準備に追われていた。

彼女は想像していた痩せた髪の長い女性とは比較的真逆の、何というか、トンがった過去がまだ透けて見える程度に若い人だった。

本棚に並んだ本を端から確認すると、笑いが込み上げてきた。

並んだ本の背表紙があまりにもわかりやすくこの人を伝えている。

傷を負ったフェミニスト。
反抗的。
大きなコンプレックス。


失礼にも本棚の前で笑い出した私をまん丸な目で彼女が見ていた。

理由は無いけど、私にはその本棚が彼女自身に思えて好きにならずにはいられなかった。

その本を選ぶ気持ちが痛いほどわかる、気がした。

自分と似てるし。

いくつになっても何かに反抗的なところが。



それから時々私はその本屋の階段を登るようになり、彼女が選ぶ本を楽しんで買うようになった。

彼女とはその後も親しく言葉を交わしたことは無いけれど、いつからか始まったラインでのやり取りはベタベタに甘い。

聞かずとも確信がある。

私と同様、彼女も女子校育ちに違いない。

女同士独特の、秘密めいた友情。

つるまないけど、ガッチリと互いの首根っこは掴んでいる。
相手がどんな人間なのか、瞬時に理解してしまったもの同士。

彼女と私の間にあるのは、多分何やらそういうものだ。


今、気持ち悪いと思った方。

安心してください。

私も、自分がキモいですから。






関連記事

Comments 0

Leave a reply