FC2ブログ
Welcome to my blog

『火花』ー500分の映画

このカテゴリ、『映画の話』に入れてからふと、あ、これ林遣都物件だった、とそこから気がつくほど、飛ばされていました。


Netflixのオリジナルドラマ『火花』です。




又吉直樹の原作『火花』に、『劇場』、『東京百景』を散りばめたようなエピソードを加えて全く違和感なく作品をひとつの世界にしてしまいました。

局の都合に縛られないと、これだけのクオリティーの映像作品が生まれるっていうことなんですね。

全てにおいて贅沢なのに無駄が無く、俳優、芸人が入り混じってこの世界を織り上げました。




500分の映画。その言葉に相応しい素晴らしい作品だと思います。

いやまじで。


若手芸人の10年を、街の空気と一緒に飲み込ませてくれる。



中編と言ってよい長さの原作世界をここまで膨らませ、何も損なわずに微細な感情までを描きます。

おかしくてバカバカしくて笑ってしまうのにキリキリと胸が痛くて辛い。

坂道を登りつめる、転がり落ちる、あるいはそこで腐って行く。

50分、全10回。
若手芸人が10年間走りきる様を追って、カメラが遠景から撮る街の風景。




ドローンでしょうか。
遠景から撮る主人公たちの疾走感と孤独が街並みに紛れて映されます。

自分でも驚くほど、胸の中に眠っていた何かを揺り動かされるのです。

漫才がなんちゃってだったら台無しになるところだった筈ですが、普通に見て十分に面白いんですよ。

しかも10年の時間の流れを感じさせる成長を、漫才の中できっちり見せてくれます。

20191004171929aff.jpeg


20191004171930956.jpeg



私は原作を又吉直樹さん本人とは全く切り離して読んでいましたが、ここでの林遣都さんは後半に行くに従ってまんま又吉に見えてくるのが不思議です。

徳永という芸人が、林遣都という俳優に降りてきた。
憑依型という括りは好きではないのですが、役に憑依される俳優は珍しいのではないでしょうか。

8話だったと思いますが、主人公の徳永を演じた林遣都さんの数分間に及ぶセリフのない顔だけのアップ。

はじめはテレビから流れる『スパークス』の漫才の声と、先輩芸人神谷の恋人の笑い声。
周りの騒音が引いていき、徳永の独白が大きくなると共に歪んでいくその表情。

尊敬する先輩より売れてしまった自分の、テレビ向けに妥協してしまった芸を。
笑うことなくじっと聴いている神谷の顔を見ることもできず、伸びた銀髪の陰で涙を流す徳永の顔を残酷なまでに長回しで写す。
神谷の姿は徳永を真似た銀髪と全身黒い服。かつて一緒に過ごしたマキさんではない新しい恋人。悔しくて憎い。
その言葉で表せない感情をセリフの無い徳永の延々と続くアップだけで聴かせる。
何も言わないのに、聞こえる。

最終話、解散が決まった徳永達スパークスの最後の舞台は圧巻。

その後の相方との別れのシーンで、相方が恋人と去って行くタクシーを追いかける徳永をカメラは上から写すのですが。

タクシーが走り去った後の一瞬、徳永の顔をアップで見せるのです。

どんな言葉でも表現しようのない、自身の夢、希望、若さ全てとの別れのシーンで、あの表情。

これまで観てきた『青年の旅立ち』的映画の全てを総動員しても、この一瞬の顔が見せた『さようならメーテル!』の後のフッと抜けた貌には敵わないと思いました。


同じく最終話のラスト前。

とんでもない全裸姿で風呂に浸かる神谷を見遣る徳永の顔の凄まじさ。

複雑に絡み合った、愛にも憐憫にも似た、でも憎悪と軽蔑であってしかるような。
なのにそのどれでもない。すでに若くもない元芸人の顔。

そこから徐々に赤くなる瞳と和らぐ表情。

目が離せませんでした。

音楽がまた本当にいい。OKAMOTO’Sもですし、斉藤和義さんの『空には星が綺麗』は名曲です。

本物の芸人さん達の演技も、何より神谷役の波岡一喜さんの存在も、全てが噛み合っていましたね。

この映像作品に、きちんとまとめた感想などとても書けそうにないのでこの辺にします。

今後、これ以上の作品に出会える気が全くしません。


関連記事

Comments 1

にゃんこさんさん  

こんばんは。

良く見たらパワーワード、カテゴリー林遣都沼(^^
もう楽しくてこういうの大好きです。

夜は寒くなってきました。風邪をひかないように暖かくして
ケント沼につかってくださいまし(^^

2019/10/04 (Fri) 19:14 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply