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たかこ

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清水 真裕 文/青山 友美 絵
童心社

『たかこ』は転校生。

『いと、はづかし』

と言いながら、国語もお習字も得意。

変わった出で立ちと平安言葉に、皆からからかわれる。

何が良いって、たかこの気位の高さと人間味、ヤマトナデシコの強さがきちんと伝わるところだ。

絵本のクライマックスは十二単が広がり皆を雷雨から救う様。

何故、何処から、どの様にして彼女が現代の小学校に転校生としてやってきたのか、そんな事はどうでも良くなる。

大好きな絵本だ。

かつて私は『男女交際禁止』をはじめとする厳しい校則のある女子校にいた。
校則をいかに破るかに命をかけていたようなものだ。
私服外出が見つからない様に、繁華街の裏道を抜けるのも楽しかった。

クラスは進学先によって分けられていたせいか、皆のんびりした似た者同士が集まっていた。

私は所謂『派手系』女子に囲まれていたので、グループを超えた付き合いができる友人をつくるのは至難の技だった。

『たかこ』と呼ばれた彼女は、私達とは対極のグループに属していた。

彼女はブリティッシュ・ロック、オジー・オズボーン、イギリスという国が大好きだった。

お下げ髪に無表情、真面目なグループにいるくせ話題がぶっ飛んでいた彼女と私が、いつからどんなきっかけでこっそり仲良しになったのかは覚えていない。

厳密にグループ分けされていた女子校の不文律の中で、たかこと私は自分達の仲を知られぬよう水面下で交流していた。

今で言う『百合』でもなく、共通点は『変わっている』というだけの、おかしな2人だった。

たかこの家に泊まりに行くと、教室では無口な私達は本当によく話をした。
夜中まで何を語っていたかも覚えていないのに、たかこの部屋の卓上ランプの灯りが映すハードロックに満ちた壁を思い出す事はできる。

ひと言ひと言、ポツリポツリと語る たかこの細い肩の向こうには、私の知らないイギリスが広がっていた。

バンドを組んで演奏したい年頃だった。
お下げ髪のたかこもギターの練習に勤しんでいた。
1人熱心にギターを弾く彼女と、土曜日といえば誰かが開く小さなバンド演奏を聴きに行く私とはやはり好対照だった。

遊び歩く一方で、私は印象派の絵画と黒田清輝と太宰治に焦がれ、日本の近代文学をひと通り読むことに1人の時間を費やしていた。
派手系のグループでそんな話はできないが、
たかこにもしなかったと思う。

教室では素知らぬ顔、という関係が楽しかったのだろうか。


この春あたりから、徐々にプチ同窓会が増えた。
卒業以来始めて顔を合わせる同級生の中の1人が、たかこの行方を知っていた。

同窓会のレストランで、電話でたかこの声を聴いた。
彼女は昔と変わらぬ低いテンションで、『私もあなたのことをずっと考えてた』と言った。


来月、私の体調が許せば、彼女の住む街まで出かけることにした。


私の『たかこ』は、母となり、どんなおばさんになっている事やら。





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Comments 2

chocoacco  

いいですね

たかこさんとの再会楽しみですね

どこにいても同じニオイというか
波長の合う人って自然と一緒にいたりしますよね

私も高校3年間一緒に過ごして
自分の方向性を決定づけてくれた
恋人のようなライバルのような友人と会いたくなりました

2019/05/06 (Mon) 00:59 | EDIT | REPLY |   
mikaidou
mikaidou  
Re: タイトルなし

chocoaccoさま

> たかこさんとの再会楽しみですね
はい、もし会えたら微妙な距離感を楽しみたいと思います(^-^)

> どこにいても同じニオイというか
> 波長の合う人って自然と一緒にいたりしますよね
そうですよね。重松清の『きみの友達』だったかに、主人公が『私達は同じ歩調で歩いていただけなんだ』と、友達でいる理由に気がつくシーンがあるんですけど、波長だったり歩調だったり、ニオイ的なもので何となく一緒にいるってありますよね。

> 私も高校3年間一緒に過ごして
> 自分の方向性を決定づけてくれた
> 恋人のようなライバルのような友人と会いたくなりました
『恋人のような』って、良いですね。人の繋がりもご縁だから、大事にしたいです。

2019/05/06 (Mon) 09:01 | EDIT | REPLY |   

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