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2018
11.13

パレードへようこそーPRIDE

Category: 映画の話
『パレードへようこそ』





1984年、サッチャー政権下の荒れるイギリス。始まりは、ロンドンに住む一人の青年のシンプルなアイデアだった。炭坑労働者たちのストライキに心を動かされ、彼らとその家族を支援するために、仲間たちと募金活動を始めたのだ。しかし、全国炭坑組合に何度電話しても、寄付の申し出は無視される。理由は一つ、彼らがゲイだから。炭坑組合にとって、彼らは別世界の住人でしかないのだ。そこへ、勘違いから始まって唯一受け入れてくれる炭坑が現れる! 寄付金のお礼にと招待された彼らは、ミニバスに乗ってウェールズ奥地の炭坑町へと繰り出すのだが──。
 『リトル・ダンサー』『ブラス!』など、イギリスの炭坑を舞台にした映画には名作が揃っている。本作も炭坑産業の苦境と闘う人々をユーモアに満ちた温かな視線で描くというスタンスは同じだが、決定的に違うのは現代社会に通じる深いテーマがあること。質実剛健な片田舎の肉体労働者と、ハデなファッションの同性愛者──誰から見ても水と油、両極端の境遇の二つのグループが、手を取り合って未来を切り開く姿が描かれる。彼らは誤解や衝突を乗り越え、固い絆を結び、新たな人生を掴み取っていく。この稀有なる実話は、人と人のリアルな繋がりが希薄になり、誰もが孤独を抱えて生きている今の時代でも、他人を思いやる誠実なアイデアと、ほんの少しの勇気があれば、素晴らしい人生を見つけられるという希望を私たちに与えてくれるのだ。

 炭坑労働者を支援したLGSMグループのリーダーを演じるのは、アメリカ人ながら圧倒的なカリスマ性を表現できると大抜擢されたベン・シュネッツァー。本作でブリティッシュ・インディペンデント・フィルム・アワードにノミネートされ、今後が注目される。グループのメンバーには、大ヒットTVシリーズ「SHERLOCK/シャーロック」のモリアーティ役で高い人気を誇るアンドリュー・スコット、『サンシャイン/歌声が響く街』で絶賛されたジョージ・マッケイらが扮した。
 ウェールズの人々を演じるのは、『ラブ・アクチュアリー』『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』のビル・ナイ、『ヴェラ・ドレイク』『ハリー・ポッター』シリーズのイメルダ・スタウントン。英国を代表する二人の名優の奥深い演技が、若手俳優たちのパワーをさらに引き出し、痛快な笑いと胸を突く涙を呼び起こす。  監督は、「ゴッド・オブ・カーネジ」でトニー賞&英オリビエ賞を受賞したマシュー・ウォーチャス。80年代のロンドンの街並みやファッションが再現され、カルチャー・クラブ、ザ・スミス、ブロンスキ・ビートなど、当時の名曲が全編をエネルギッシュに盛り上げる。さらに炭坑の町としてウェールズでロケを敢行、城跡が残る雄大な美しい景色を存分にとらえた。
 ゲイの権利を訴えるパレードで幕を開けた物語。かけがえのない出会いと共闘を経た1年後、またその季節がやって来た。今度はスクリーンの前のあなたも、拳を力いっぱい振り上げずにはいられない、生涯心に刻まれるパレードへ、ようこそ──。


公式ページよりお借りしました。




実話だなんて、信じられなかった、とプロデューサーさえ言ったと言います。

1984年。バブルにまだ沸いていた日本で、イギリスの炭鉱閉鎖やサッチャー首相の政策のことなど何も知らずに生きていました。
1984年、エイズはまだ遠い世界のことでした。
1984年は、この映画の質感のように、今はもう昔ですが。

世の中の偏見は、昔の話ではありません。

男子フィギュアスケーターが、ようやくカミングアウトできるようになってまだ数年。

アメリカのドラマgleeでも、ゲイの男の子が道で暴力を受けた回は衝撃的でした。

構成、台詞、カットのどれをとっても1つの無駄もありません。
脚本、監督は誰なのかと、観ている間中考えていました。

BBC 『SHERLOCK』のモリアーティ役のアンドリュー・スコット、。
この映画では、『ゲイのための本屋』を開いている、故郷に帰るに帰れない葛藤を抱えた男として登場します。
映画の最高に良いところを持って行きます。少なくとも私の中では。

チラッと出てきた「SHERLOCK」~バスカヴィルの犬~でナイーヴな主人公を演じたラッセル・トビー。
AIDSを発症したマークの元カレで、まだ未知のAIDSについてハッキリとは言わずに、ダメ押しのキスをマークにして立ち去るのです。あのミス・マープルでは人の良い警官だったのに!

映画『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』で、意地悪で残酷なドローレス・アンブリッジ役を演じたイメルダ・スタウントン。彼女のコメディエンヌぶりには心掴まれましたよ。チャーミングで、複雑で。
『ラヴ・アクチュアリー』のビル・ナイとのしみじみとしたカミングアウト合戦は、名シーンだと思います。
個性的な俳優でいっぱいの映画。

歌のシーン、女性が立ち上がり歌い始め、歌声は広がっていきます。
『Bread and Roses』。
これ以上にこのシーンを語る歌はないと思いました。
字幕の歌詞が、何より説得力を持って迫ります。
同名の映画も是非観たいと思いました。

他にも、懐しい音楽の数々。

ゲイ専門の本屋を開いているアンドリュー・スコット演じる店主と芸能人崩れの恋人。
彼らの元に集い、ゲイパレードの準備をするメンバーの元に、マークという青年がやってきます。
炭鉱労働者への警察官の横暴、彼らminersに向けられる言葉が自分たちにむけられた言葉が、自分達ゲイに対するものと同じだと言うのです。彼らも自分達と同じ。
支援しよう。
その言葉に賛同したのはほんの数名。
『レズビアンズ・アンド・ゲイズ・サポート・ザ・マイナーズーLGSM』の始まりです。

ゲイパレードに巻き込まれるように、彼等の旗を持つ羽目になってしまったジョーもメンバーに入ってしまいます。
彼がこの活動を通して成長する姿が柱とはなっていますが、それぞれに見せ場があり群像劇だと言って良いと思います。


恥ずかしいことに、若い頃、サッチャーのHIVーAIDS政策について講義で教わったことも記憶にない程無関心でした。
私自身も偏見を持って見ていたと思います。

映画の中では、炭鉱労働者に対するサッチャーさんのエネルギー政策の負の部分が描かれていて、そこで言われていた『miners』への言葉がそっくりLGBTの若者へのそれと同じだったことから若者達は『minersも自分達と同じだ、支援しよう』と立ち上がります。

炭鉱労働者組合はゲイの支援なんかいらないとはじめは拒否するのですが、サッチャー政策への炭鉱ストライキが彼らの生活を悲惨なものにして行きます。

そこに必死で寄付を集め、唯一受け入れてくれた炭鉱町へ若者達は向かいます。AIDSと初めて向き合い、自らの恐怖と戦いながら活動を諦めず、結果としてイギリス全土の炭鉱ストライキが終わり、パレードを行う日、多くの炭鉱労働者が彼らの旗の元に集まります。列の最後尾に並べと言われた彼らは、最も大きな団体となってパレードの最前列で行進します。
差別の中身こそ違えど、言われている中身は同じだと立ち上がる時、それはあらゆるminersに通じることを、言葉では説明せず、細かいカットで見せていくのが秀悦です。

登場人物の1人、炭鉱労働者組合の支援品仕分け係だっただけの主婦、シャーン・ジェームズ。
映画の最後あたりでAIDSの初期発症者となったLGSMメンバーのジョナサンのすすめで大学に行ったことがエンドロールで知らされます。
彼女は地域で初の女性議員となります。

LGBTがたとえブームのように言葉だけ独り歩きしているようでも、この言葉は自分にも決して無関係ではないと突きつけられたのでした。
minersって女性だって、そうだったわけですから。



パレードへようこそ』(英: Pride)は、2014年にイギリスで製作されたレズビアン・ゲイ映画・歴史映画・コメディドラマ映画で、スティーヴン・ベレズフォードが脚本、マシュー・ウォーチャスが監督を担当した。実在の団体レズビアンズ・アンド・ゲイズ・サポート・ザ・マイナーズ(LGSM、字幕では「炭鉱夫支援同性愛者の会」)が、1984年から1985年の炭鉱ストライキの際に炭鉱労働者へ金銭支援を行った話を映画化したものである。脚本のベレズフォードは数少ない当時の資料を集めたほか、実際のLGSMメンバーも取材に協力した。

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コメント
これ見たいです~!

ブラスもリトルダンサーも大好きな映画ですが、80年代のイギリスはホント不景気で暗い話が多かったんだなあ、と今更ながら思います。

AXNミステリーの英国ドラマでは、同性愛絡みのエピソードがよくありましたけど、あれは90年代だったのかな?『刑事タガート』で、Pink Pound=おしゃれに気を遣うゲイ達による経済効果、という言葉を知って納得したのを覚えています。マルコム・マクラレーンはその一翼を担っていたのだなあと。

中坊の頃からブリティッシュロック聴いてたので、同性愛カミングアウトしてるバンドも聴いてましたし、皆サッチャーに怒ってるのは何となく知ってましたけど、その意味を知ったのは大分後のことです。

ブロンスキ・ビート懐かしい~(^O^)
これ、ザ・シネマかムービープラスでやってくれないかしら。
yuccalinadot 2018.11.19 08:23 | 編集
yuccalina さま

この映画こそ音楽、しかもブリティッシュロックをよくご存知でいらっしゃればこそより感慨深い映画ではないかと思います。

私が音楽に詳しければ、もっとそこのところに突っ込めたのかもしれないのですが、これは見る側にも知性が要求される気がして、私には全く足りていないんですみません!

どの登場人物も、どのシーンもどの音楽もどハマりすぎて、うまく書けませんでした。
あちこちに下書きを書き散らしたものをかき集めてここに載せたので本当にきちんとお伝えできないのが残念です。

この映画から広がる世界がどんなに深いか、もっとしっかり調べて知ってから書くべきだったか?正直迷いました。

ちょっぴり出てきた楽しいダンス。
時代の空気を伝える音楽。

でも作る側から『ドヤ』って感じが全く感じられないのがまた良いんですね。
この映画、LGBT関連のイベントで上映されたのですが、会場のあちこちから啜り泣きが聞こえました。

舞台関係を多く手がけたらしい監督と脚本家のようですが、すんごいです。
サッチャーに関する当時の日本の報道は何だったんだよと入れ込んじゃいます。
mikaidoudot 2018.11.19 12:10 | 編集
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