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2018
02.25

『賞をもらわない99人』

Category:

『「新しい人」の方へ』
大江健三郎/朝日文庫


語り口が穏やかで時に深淵で。
大江さんのこの本は、青少年向けに書かれていることもあって、
大人の疲れた心にも暖かいのです。


以前この本から『嘘をつかない』についてふれたディケンズ作『デイヴィッド・コッパーフィールド』と、その登場人物ユライア・ヒープについて備忘録を書いたことがありましたっけ。
オリンピックの禍々しい報道を目にしながらまたこの本を開くと、『賞をとれなかった99人』に気持ちを揺さぶられます。

今回のオリンピック。
フィギュア以外の競技には、何度も涙しました。
選手たちが素晴らしい笑顔で、『支えてくださった方々』に感謝の言葉を述べていました。

スケ連って、数年前の記事によれば、(ソースは拙ブログの何処かに埋もれてます。面倒なのでリンク貼りませんが。)他の『公益財団法人』のお手本になるほどの黒字を出してましたけど。
実際選手生活を続ける為に、一個人の病院が選手の支援をしていたり、どの選手も大手スポンサーが付いていなければ大変な思いをしながらの競技生活なんですね。

一体あの巨額の黒字は何処へ?

OPの感動話を聞きながら、そんなことを思っていたんです。


大江氏は、スウェーデン人の友人にこう言われたと書いています。

『(ノーベル)文学賞でひとりの受賞者を出すために、我々は、賞にふさわしい水準の候補百人のリストを作って、一年間話し合う。
科学の場合でも同じことだと思うよ。
その百人の候補のレヴェルにあるというだけで、すばらしいことじゃないだろうか?
ひとりの受賞者を作り出す目的をかかげるより、もっと沢山百人の候補のうちに送り出そうとめざすのが、むしろやりがいのある教育じゃないだろうか?
きみが受賞した時にいった、上品な日本人らしい、目標のかかげ方だとも思うよ。』




『賞をもらわない99人』をはじめ、大江さんの本は
琴線に触れる、胸を突かれる、そういったものが、この柔らかな文体で語られます。

至福の時間であり、日本人の課題があぶりだされる瞬間でもあります。


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コメント

賞を取る取らないにかかわらず、努力を評価し尊重する。

素晴らしい事です。

今回の五輪、一番まともに見た小平選手の500m。

素晴らしい滑りに興奮し、記録と結果に感動し、そして泣きました。

泣いた理由は、彼女の姿に多くの選手の努力と苦労を感じたからです。

ソチの真央さんについて、タラ・リピンスキーは「メダルはない。

でも金メダルは真央。」と言いました。

そのステージに立っている事自体がすごい事だし、

賞を得て脚光を浴びているものより、もっと光っているものがあったりして、

真央さんのソチは、はからずも五輪の意義を世間に知らしめたものでした。

果たして世間はそのメッセージを受け取れたのか?


本、読んでみたいです。

sonadot 2018.02.25 23:43 | 編集
sona さま

> 泣いた理由は、彼女の姿に多くの選手の努力と苦労を感じたからです。

表彰台に立つのは1人でも、その後ろには多くの支援者がいることを、選手達が口にしたことは大きいです。
ソチからスピスケはナショナルチーム制で強化を図ったそうですね。
フィギュアは、アイドル作りにご執心でしたが。

> ソチの真央さんについて、タラ・リピンスキーは「メダルはない。
>
> でも金メダルは真央。」と言いました。

本当に嬉しい言葉ですね。
ジョニタラは言いにくいことも言ってくれますよね。

伝えたかったことを、拙ブログのわかりにくい文章の中に感じ取ってくださってありがとうございます。


mikaidoudot 2018.02.26 07:27 | 編集
鍵コメ様

お久しぶりです‼️
コメントありがとうございます😊
これは文学賞というよりサイエンスの方が、より当てはまるのかもしれませんね。
The Big Bang Theory好きなんですが、コメディーとはいえ興味深いです。
レナードのアイデアあってのシェルドンの功績だったり(^^)

大江さんはこの本の中で、子供の頃の不思議な体験を書いているのですが、
ご両親の意志を継いだ彼の生き方に『頂いた命を生ききる』という、強い思いを感じます。
mikaidoudot 2018.02.28 08:56 | 編集
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