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2018
01.23

自分が信じる素晴らしい何かのために

Category:
『Goldie the Dollmaker』
『ゴールディのお人形』
M.B.ゴフスタイン著

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作者のM.B.ゴフスタインは、アメリカの中西部、セントポール市出身の作家です。
著者紹介を最後に読みながら、何とも言えない喜びと誇りにも似た感情で、しばらく気持ちがざわめきました。
彼女はこの本のあとがきに両親から学んだことを書いています。

『弟と私はミネソタ州セントポール市で過ごした子ども時代に、人生において価値のあることは、そして本当に幸せなことは、仕事をすることであり、もし何かひたむきに自分を捧げるものがなければ、その人生はつまらないものだと感じていました。
私が本の中で表現したいと思っていることは、自分が信じるすばらしい何かのために黙々と働く人の美しさと尊さです。そして、本はだれか人が書いたということを知って以来、私は本を書く人になりたいと思っていました。』



彼女は黙々と働く人の尊さを描きたかったと書いていましたが、私がこの本に見出したのは、働く人、というよりはひとりの芸術家の姿でした。

芸術家と、職人との違いは何でしょう。
ゴールディは人形を作って売っています。彼女のお父さんも同じように木彫りの人形を作っていました。
木っ端(木の端材)を使っていたお父さんとは違い、ゴールディは、自然の木からその人形をひとつひとつ作り上げます。
胴体が出来上がると一睡もせずに、その人形の手足になりたいと願ってでもいるような自然の木の枝を4本さがすのです。そして翌朝までにはその枝を人形の手足に彫り上げてしまう。
その描写はまるで絵描きか彫刻家のようです。

ある日ゴールディは町で中国製の美しいランプを見つけます。
そのランプは、値段の高いゴールディの人形でさえ、27体も作って売らなければ買えないほどのものでした。

綺麗なものが好きな、素晴らしい人形作りのゴールディをよく知る店主は、このランプを少し値引きして彼女に売ってくれます。
でも家に帰ると、こんなランプのためにこれから切り詰めた生活をするのか、という『寂しさ』と後悔の念が彼女を苦しめるのでした。
生活者としての彼女と、美しいものを欲する芸術家の魂がせめぎ合うのです。
そこにランプに宿った『作り手の魂』が囁くのです。このランプをどんなに一生懸命作ったかを。
ゴールディはそのランプをつけた部屋で思います。
これで本当の私の部屋、人形を作る部屋になった、と。


絵本のつもりで読み始めてすぐに、これは芸術家の話なのだと気がつきました。
私たちなら敢えてわざわざしないこと。
リスクや効率を抜きにした、魂の仕事。
それがゴールディの生き方であり、生きる糧なのです。

誰かに似ていませんか?

私は浅田真央の3Aへの挑戦を、無駄だとも、戦略的でないとも、見ていて一度も思ったことがありませんでした。

ゴールディが買った高価で、でも生活に必要とも思えない、けれど美しい『ランプ』の輝き。
それは人形作家ゴールディの、芸術家の魂が欲するものでした。
言葉としてしっくりはきませんが、心の食べ物と言っても良いかもしれません。

フィギュアスケートは勝敗がつくところが好きだと本に書いていた真央さんですが、
スポーツも、行くところまで行ってしまえばアートなのかもしれません。
浅田真央には、凡人が言うところの『計算』はなかった。
彼女にあったのは、『志』だったのだと思います。

何かひとつ、好きなことをやり遂げる、ただそれだけに精進したことを、尊く感じます。

ゴールディの作った人形が、多くの人に愛されたように。



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コメント
こんにちは~。

わー、ゴフスタインだ!好きなんですよね。

「ゴールディ」は、物を作る人はみんな好きなんじゃないかな?

目下のマイベストは「おばあちゃんの魚つり」です。1人暮らしになって、このおばあちゃんのようでありたいと強く思うようになりました。
ぢょん でんばあdot 2018.01.23 10:26 | 編集
ぢょん子さま

すみません、もう『ぢょん子さん』と呼ばせて頂きますね(^^)

この作家、私は初めてだったんです。
若いイケメン店主がコーヒー淹れてくれる小さな本屋さんがありまして、
そこで紹介されていたので読んでみたらとっても良かったので‥‥。
『おばあちゃんの魚つり』、イケメン本屋さんに探しに行ってみようかな(*^^*)
mikaidoudot 2018.01.23 20:36 | 編集
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