2017
07.16

Happy Sad

Category: 映画の話
古き佳き建築物を保存するために活動されている方の町家にお邪魔した。

築140年ほどだろうか。





その古民家が、夕べは映画館になった。





エアコンも網戸もない、昔ながらの畳の部屋に、スクリーンを据え。


上映されたのはアイルランド映画、『Sing street 』。

余りに切なく、只々素晴らしかった。

キーワードは、「Happy Sad」。

哀しみを基調にしながら、主人公の未来を信じたくなる。
おいて行く側、行かれる側の引きちぎられるような心の痛み。

こんなにも登場人物の全員に感情移入でき、
セリフの一言一句に共感を覚えた映画は初めてだった。

心に染み入る、恋する人、親子、兄弟との葛藤と深い愛。

少年の成長が1985年当時の音楽シーンと共に描かれる。

オリジナル以外の全ての音楽、バンド、映画はリアルタイムで見てきた。

バンドのメンバーにはクールな黒人が必要だから、という理由で友人を誘うシーンがある。

この映画の時代を更に20年さかのぼるだけで、時代はキング牧師の時代だったのだ。

それからわずか20年。
ヨーロッパの都市ダヴリンではハリウッドにこれほど憧れを持つようになっていたのか。
そこにまず、驚く。

Duran DuranのMTV、Michael Jacksonの「Thriller」、「Beverly Hills Cop」のワンフレーズ、
「Back to the Future」のダンスパーティーなどなど、
兄の「宿題」でDuran、Spandau Ballet、Hall&Oatesなどを聴き、
影響を受ける主人公の少年のルックスの変化と内面の劇的に尖ってゆくさまが見もの。

あの頃、日本はバブルだったが、アイルランドは困難な時代だった。

今だからこそ理解できるのかもしれない。

小さな町の閉塞感。家族の崩壊。愛するものを失っていく痛み。



特に主人公の兄の存在がいい。

町を出て、文字通り人生の荒波に乗り出す弟を送り出す。

兄は自分の全てを弟に注ぎ、託したかのようだ。

長男に生まれた、その生きづらさ。

いくつもの真実、誰にも迫る現実が『自分の物語』のように、手に取るように、わかる。


『国は違っても、なんかみんな同じなんだなあ』と、誰かが言った。

その通りだと、思った。

畳の上で思い思いに寛ぎながら、こんな映画に出会えるとは。



singstreet2.jpg

『シング・ストリート 未来へのうた』


「はじまりのうた」「ONCE ダブリンの街角で」のジョン・カーニー監督の半自伝的作品で、好きな女の子を振り向かせるためにバンドを組んだ少年の恋と友情を、1980年代ブリティッシュサウンドに乗せて描いた青春ドラマ。大不況にあえぐ85年のアイルランド、ダブリン。14歳の少年コナーは、父親が失業したために荒れた公立校に転校させられてしまう。さらに家では両親のケンカが絶えず、家庭は崩壊の危機に陥っていた。最悪な日々を送るコナーにとって唯一の楽しみは、音楽マニアの兄と一緒に隣国ロンドンのミュージックビデオをテレビで見ること。そんなある日、街で見かけた少女ラフィナの大人びた魅力に心を奪われたコナーは、自分のバンドのPVに出演しないかとラフィナを誘ってしまう。慌ててバンドを結成したコナーは、ロンドンの音楽シーンを驚かせるPVを作るべく猛特訓を開始するが……。

映画.comより

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