2017
06.13

カエルの君

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『青木雨彦』

紫陽花の頃、雨といえば思い出すのが、コラムニストだった青木雨彦のことである。
最初に出会ったのが、高校生の時、この『夜間飛行』だったと思う。

私が只一度、著者のサイン会の行列に並び、サインを貰った人である。

おじさんおばさんの列に1人混じった19か20歳の私は、場違いな雰囲気に恥ずかしくて堪らず、
終始俯いていた。
青木氏の顔は、見ることもできなかった。

ミステリを語りながら男女のなさぬ仲をいつの間にかチョロリと読ませる。
彼が書くサラリーマンの背中は、カッコ悪く、憎めなかった。
照れくさがりな人柄が滲むコラムを夢中で探して読んだ。

評論家という肩書きも、ご本人の容姿コンプレックスから『雨彦』と名乗るお茶目さにかき消えてしまう。
堅苦しさも難解さもない文章の数々。

堤中納言物語の『虫めづる姫君』が蛙につけた『雨彦』がペンネームの由来だったと記憶している。
違ってたらごめんなさい。





訃報を知って以来、悲しくて一度も彼の本を開いていない。

あの頃の彼の年齢になった今なら、もう一度読めるかもしれない。



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