2016
11.20

ブーツの金田一

Category: TV番組
『放送コードのあれ、言っていいのかい?』

そこが気になるドラマ『獄門島』。

きっちり、言いましたね。
大丈夫なんでしょうか?

原作を読んだことのない人、市川作品さえ見たことのない人にも
『わかりやすい』ドラマになっていた。

『獄門島』

スーパープレミアム「獄門島」
【放送予定】11月19日(土)[BSプレミアム]後8:00~10:00


横溝正史の最高傑作

数々のミステリーランキングで1位に輝く名作をドラマ化
長谷川博己演じる新しい金田一耕助が事件の謎に挑む!

戦争直後の瀬戸内の孤島を舞台にした、おどろおどろしい雰囲気、殺人の巧みなトリック。昭和22年の発表当初から高い評価を受けている「獄門島」は、古今東西のミステリー小説を対象にしたランキングで何回かベスト1に輝いたのをはじめ、常に上位にランクイン。これまでに映画化2度、テレビドラマ化4度と、今もその人気は衰えない。

この傑作ミステリーを、各種の映画機材等を用いることで、映画とみまごうクオリティーで映像化。また、孤島の地形(殺人トリックに不可欠)や島を覆う不気味な空気感の描写を、雄大な自然と歴史的建造物が多く残る佐渡で再現する。

そして、金田一耕助。戦争でトラウマを抱え、心に空いた穴を埋めるため、取り憑かれたように事件を解明しようとする姿は、風変わりでとぼけてはいるがどこかヒーロー然としていた従来の金田一像とは一線を画す。

「うぐいすの身を逆さまに初音かな」閉鎖的な孤島で繰り広げられる連続殺人。何故か俳句に見立てられたそのコロシの謎に、金田一耕助が挑む!

【出演】長谷川博己、仲 里依紗、小市慢太郎、古田新太 / 奥田瑛二 ほか

【作】横溝正史『獄門島』
【脚本】喜安浩平

【演出】吉田照幸
【制作統括】村松 秀、西村 崇、大谷直哉



『獄門島』の新バージョンを見た。

結構な衝撃。

脚本家は誰だろうと、Twitterも読んだ。

喜安浩平さん、舞台や声優など、幅広い分野でご活躍の方だという。

昨今の日本のTVに面白いものなんか作れないと思っていたけれど。

『ちかえもん』といい、長谷川金田一といい、
やるじゃん。

あんまり褒めるのも悔しいが、
正直言って、カンバーバッチシャーロックを初めて見た時の興奮に近い。

原作を初めて読んだのは小学生の時で、その後何度も読み返しているがせいぜいそれも高校生までのことだった。
映画版の石坂金田一のイメージが定着してしまうと共に、原作の面白さをすっかり忘れていた一作だ。

その金田一耕助が、とんでもなくエキセントリックで病的な探偵になって帰ってきた。
もし次があるのなら、戦争から帰ったばかりの傷がいくばくか消えた金田一になっていてほしいが、
何しろこれは良かった。

ユーモア、抜け感、くすぐり的なものは見られない。
子供っぽい感じが、ラストに象徴されてはいる。
けれど、それがあざとさを感じさせず、好もしい。

市川作品へのオマージュとも取れる音楽と映像美。
ロケ地や建物など、本物の質感に拘った。
どんなに説明台詞が多くったっていいのだ。
原点に戻ることが斬新さを産んでいる。

原作の面白い部分は、本来理詰め。
台詞が多くて何が悪いと思う。
映像で見せるからといって、全てを映像に語らせる必要なんてないはず。
敢えて金田一の心象、トラウマに千万太の亡霊を使ったことも、金田一と鵜飼、「戦争から生きて帰った者」がこれから生きる意味を問うラストも、今の時代に納得のシーンだったと思う。
全てを獄門島の由来や歴史に帰するのは、今の時代では無理がある。
いわくつきの歴史、因縁、血の穢れなどを今使えば、
それはもう、パロディーか大真面目なお笑いに陥るしかない。

金田一を狂気に陥らせることで、十分『変』なのだから、もうこれ以上のオドロオドロは必要ない。

閉鎖的な狂気の潜む島の描写に、市川版のような島の名の由来や住人たちの出自についての説明がいらない。
淡々とした画面でも、ロケ地の質感で納得させてしまう。

無駄な時間は、ほとんどない。

2時間を余すところなく使い切った。

この後、すぐに市川崑の『獄門島』が放送されたため、両方を一度に見ることができたことが、また良かった。

これまでの横溝作品の映像化は、ほとんどが原作のエログロを強調するか、大物俳優陣を揃えることで、原作の本当の不気味さや複雑なトリックの面白さを損ねていた。
トリックについての説明不足、理にかなわない部分は「オドロオドロ」で胡麻化されてしまっていた。

ところが、長谷川金田一が一つ一つ確認し、問い詰め、叫びわめく中に、きちんと筋道立ったトリックと、金田一が最後に和尚に詰め寄った理詰めの謎解きが、観る者にきちんと頭で理解できるようにしてくれるのだ。

久しぶりに、この小説を読んだ時のトリックの面白さ、犯人の意外性をはっきりと思い出したのだからこのドラマは大成功に違いない。
主演の長谷川さんも、脚本の喜安さんも、シリーズでやりたいと口をそろえて言うのだから、是非シリーズ化して欲しいものだ。


ドラムとギターの効果。
ジャズの新しさと昭和21年の日本のミスマッチを市川作品は狙っていたのかもしれないし、観るほうもあれは良かったと思っていたが、平成版は数段上手だった。

何より成功しているのが、役者の使い方だろう。

真矢みきが演じたビックリ『黒蜥蜴』を見たばかりだったので余計にそう思う。
局の都合でかき集めた俳優だらけで、製作費は殆どギャラで消えたのか。
オリエント急行同様、ゴーリキーの顔を見ただけで、ドラマのお里が知れてしまうのだ。
どれだけ良い役者が揃っても、こんな駄作ができるのだという見本だった。

それに比べてこちらの『獄門島』。
舞台の役者さんも使ったのだろうか。
素晴らしかった。
これだけ女優の数を使いながら、事務所の都合や「押し女優」の目白押しが見られない。
早苗役でさえ、若手の押しかも、と思ったが、抑えた演技は「押し女優ありき」の作品でないことを象徴しているかに見えた。

最後の奥田瑛二と長谷川博己の丁々発止は長すぎたし、あんまりだったが。

了然和尚を殺したのは、これじゃ、金田一その人ではないか。
死者にとりつかれたのは犯人だけではなく、金田一もだったというわけか。

金田一君、これでは君も、和尚殺しの犯人だ!



長谷川金田一はインタビューでこんな風に話している。

http://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/interview/1078400
【インタビュー】「獄門島」長谷川博己「金田一耕助を演じてきた歴代の俳優の中に、自分の名前が連なると思うとすごくうれしかったです」
2016年11月19日 / 13:41

 横溝正史の原作をドラマ化した「獄門島」(19日、BSプレミアム午後8時~午後10時)で、長谷川博己が名探偵、金田一耕助を演じる。戦友が残した「妹たちが殺される」という最期のメッセージを胸に、瀬戸内海に浮かぶ獄門島にやってきた金田一が連続殺人の謎に挑む様子を描く。今回の金田一像は従来とは一線を画すという。長谷川が、実際に演じた感想、さらに役者としての思いを語った。


-横溝作品の中でも絶大な人気を誇る「金田一耕助」シリーズですが、オファーが来た時の心境はいかがでしたか。

 金田一耕助を演じてきた歴代の俳優の中に、自分の名前が連なると思うとすごくうれしかったです。日本を代表する探偵シリーズ、シェークスピアでいえば『ハムレット』みたいなものですから。そういった意味では“金田一アクター”という枠の中に入れた。これほど光栄なことはない、という気持ちでした。

-「獄門島」の印象はどのようなものでしたか。

 やはり、僕は市川崑さんの作品(1977年の同名映画)が好きだったし、素晴らしかったので、それを自分がやるというのはかなり大変なことだなと思いました(笑)。僕の中では市川監督の金田一のイメージが強かったのですが「金田一は傍観者としているべき」「例えて言うなら天使だ」とおっしゃっていたと、どこかで聞いたことがあります。ところが、今回の金田一は、それとは違って、ズバズバいろんなことをしゃべるし、エキセントリックな印象でした。原作を読むと、今回は原作に割と近いなと感じたので、そういう意味では、一度、過去のイメージから「自由になっていいんだ」という気がしました。

-今回の金田一の魅力は何でしょう。

 最初に台本を読んだ時に、ヒーローというよりも、後半に関しては「こっちがヒール(悪役)なんじゃないかな」と感じる部分がありました。なので、従来の金田一像と比較できる、そこが魅力かもしれません。戦争のトラウマなど金田一の心の闇が描かれている。それも一つの魅力だと思います。

-演じる上でのこだわりはありましたか。

 台本に忠実に、求められていることを表現していく、というのがいつもの役に対するアプローチです。そういう意味では今回特に強いこだわりのようなものはありませんでした。それよりもとにかく佐渡が島という素晴らしいロケーションで、周りの役者さんたちと一緒に、その場所、その場で生まれたものを大切にワンシーン、ワンシーンを丁寧に演じていく感じでした。あえて言えば、げたではなくブーツでやったということですかね。山の中をとにかく猛スピードで走りまくるので、監督に「げただと転びそうですね」と話したら、「じゃあ、ブーツにしようか」となったので、それでいいんだ…と思って、そうなりました(笑)。

-“探偵役”を演じるということに対しては、何か特別な思いはありますか。

 イギリスで言えば、シャーロック・ホームズですよね。
探偵役はすごく魅力的です。自分も役者じゃなかったら、探偵をやりたかったなと思うほど。いろいろ変装とかできて楽しいじゃないですか。どこかアウトローですしね。

-撮影を通じて、今後何度も演じてみたいキャラクターになったのでは?

 それはもちろんです。ただ、今回は結構せりふの量が多かったので(笑)。金田一って、あまりしゃべらないイメージがあったのですが。金田一が「そうですか?」「でもこうじゃないですか?」ってちょっと言ったら、周りがワーッとなって、一気に解決していくみたいな。そういう展開をちょっと期待していたのですが、世の中そう楽には行きませんよね(笑)。

でも、シリーズ化されたら、ぜひまたやらせていただきたいです。

-夏目漱石に続いてまた有名なキャラクターを演じたことへの思いは?

 夏目漱石という実在した偉大な作家を演じられたり、金田一耕助というポピュラーなキャラクターを演じることができたり、本当に役者冥利(みょうり)に尽きます。こういう役を任せていただけるようになったことをうれしく思うのと同時に身が引き締まります。

-来年は40歳を迎えます。今年はとても忙しく充実した時を過ごされたと思いますが、来年への意気込みをお願いします。

 今年はいろいろな役を頂けて確かに充実していました。これからも気負うことなく一つ一つ丁寧にやっていけたらな、と思っています。

-最後に視聴者にメッセージを。

 皆さんには一度、これまでの金田一像を忘れて、先入観なく見ていただけたらうれしいです。


評判が良ければ次回作もやるよ、というスタンスだろうか。

乗りましょう。その手に。

次回作ではエキセントリック金田一は少し抑えて。
そうすれば、日本のバッチ君になれると思うのですが。
どうでしょう?

「見ろ!全部解いてやったぞ!」

さあ、これがキメ台詞になるかな?
そこまで世間はノッテ来ないかな?

関連記事

コメント
こんばんは(^^

おおっ!金田一の新しいのですね。
見れてないので評判だけ見てますが、良さそうですね。
番宣で見た3姉妹がすごくてびっくりしましたけど、あれはあのままだったのかな。
それとも見間違いだったかな(^^;

長谷川さんは色んなドラマで見ましたが、夏目漱石でイメージが良い意味でガラっと
変わってしまいました。
良い俳優さんが良い作品に出会って、魅せてもらえるのは嬉しいですね(^^
にゃんこさんさんdot 2016.11.21 18:12 | 編集
にゃんこさんさん様

こんばんは(*^-^*)

私、最近の日本のドラマも映画もほとんど見ないので、
長谷川さんを知らなかったんですよ。
「何をやらせてもこの人は狂気になる」とか某所で書かれてましたけど、
役柄がキレキャラ多めだったのでしょうか?

残念ながら、3姉妹の極彩色だけは、そのままでしたね。
戦後すぐなんだから、もう少しくすんだド派手でいってほしかったのですが・・・。
シリーズ化を待ちたいですね(^^)/
mikaidoudot 2016.11.21 20:39 | 編集
こんばんは!

素晴らしい解説ありがとうございます♡

長谷川版「獄門島」
出だしからかな〜りそそられました!

そして私もエンドロールで
脚本と演出をチェックしてしまいましたw

本当に今までの横溝モノと違って
オドロオドロしさも残しつつ
ちゃんと推理物になってましたね

金田一が了燃を死に至らしめるとは!

金田一も死ぬかと思いましたが(笑)
chocoaccodot 2016.11.21 23:07 | 編集
chocoaccoさま

こんにちは(*^-^*)

> 本当に今までの横溝モノと違って
> オドロオドロしさも残しつつ
> ちゃんと推理物になってましたね


なってましたよね。
キワモノでも話題作りともちょっと違うというか、
外し方が絶妙というか。

> 金田一も死ぬかと思いましたが(笑)

白目むいてましたもんねwww
あれはちょっとどうなのというところでしたが、
毎回とりつかれない様に磯川さんとか等々力さんとかに
しっかりして頂かないと!
mikaidoudot 2016.11.22 13:05 | 編集
こんばんは(^^

キレ役、ここ最近では夏目漱石でしたよ(^^
まじかー、こんなに胃痛でぶち切れているのかーっと。
怒鳴るシーンは怖かったので、印象はすごいかもしれません。
少し前のデートという作品では変わったオタクをやってましたよ。
あれもキレ役だったと(^^; キレ系多いのかもしれません。
私が好きだったのは、セカンドバージンという作品の
なんともいえない役柄だったので、他で見かけたときはびっくりしましたよ。
同じ人なんだよなあって。
にゃんこさんさんdot 2016.11.22 22:48 | 編集
にゃんこさんさん様

そうそう、怖いくらいの怒鳴るシーン、
今回もしっかり演じておられました。
オタクっぽいのも持ち味かもしれませんね。
長谷川金田一、やはりキレ系なのですね(^^)
良い役者さんですよね。

mikaidoudot 2016.11.23 17:22 | 編集
管理者にだけ表示を許可する
 
back-to-top