2016
10.15

オシャレ怪獣ドゴラ

Category: 映画の話
『宇宙大怪獣ドゴラ』をCSで観たのです。
1964年、東京オリンピックの年に公開されているんですね。

チャンネルNECOより
http://www.necoweb.com/neco/program/detail.php?id=3797

宇宙大怪獣ドゴラ 1964 東宝

【キャスト・スタッフ情報】
監督:本多猪四郎 特技監督:円谷英二 原作:丘美丈二郎 脚本:関沢新一 出演:夏木陽介 ダン・ユマ 中村伸郎 小泉博 藤山陽子

あらすじ

『ゴジラ』の本多猪四郎監督×特技監督・円谷英二コンビが手掛けたSF怪獣映画。あいつぐ核実験の結果、宇宙に発生したアメーバ状の細胞が巨大な宇宙怪獣ドゴラに成長し、ドゴラのエネルギー源である炭素を求めて地球に大挙来襲する。ドゴラは石炭やダイヤモンドを吸い上げては成長し、地球を壊滅の危機に追い込んでいく。


ええと、音楽もですが、私、特撮SF映画にも全く詳しくございません。
ですので、手前勝手な感想のみ書き残します。
お詳しい方には、以下、馬鹿馬鹿しくてやってらんねえ感じの感想ですので、
スルーしていただけると幸いです。


この映画をつべで探すと、英語版のタイトルには『宇宙怪獣ドゴラ-「jellyfish」クラゲの襲撃』と書いてあるのです。
なるほど、wikiには「イカ型」とか書いてありますが、確かにクラゲっぽくもありますね。

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宇宙大怪獣ドゴラ予告

予告編に、映画全編で活躍する外国人マークを、単に「変な外人」と紹介しているのが笑えました。
彼はこの映画の「ギャング」対「外事警察」を国際的な秘密組織な感じに大きく見せる、スリルでボンド的な役割を担った重要人物なんですよ。


Dogora the Space Monster (1964) - Attack of the space jellyfish!


この映画、一言で言って、とにかくオシャレ。

出だしに謎の女が見張りに使っているスポーツカーからしてもうオシャレ。
警報の出ている北九州市に寝台特急「さくら」に乗って、東京からヤングソルジャー気分で乗り込む「博士」と「お嬢」の2人組。
この2人が寝台車の中で使う赤い水筒が死ぬほどオシャレかつカワイイ。
どこでだったか、皆でラジオのニュースを聞き入る場面で大写しになるラジオのデザインがまた悶絶するほどオシャレ。
イカ型になった「大怪獣」のフォルムがスマートでオシャレ。
華麗なる怪獣だと言ってもよいほど、動きだって軽い。
新鮮なイカならではの透明感がそこはかとなく漂っていて、それはもう、上空のトルネードと一緒に神秘な映像になっています。



映画「ボルサリーノ」が1970年だとしても、それ以前に真似真似ではなく日本人がスーツに帽子をかぶるそのオシャレな感じ。
悪役が揃って洒落ているだけでなく、悪い人なのか何者なのか判然としない外国人のマークが明るい暖色系、茶系の服と茶色い帽子のリボン的なもの(なんていうのかわかりません)がキャラクターをよく示していて、この映画を独特なAに引き上げている気がします。
あくまでも、私の中でですが。

怪獣とダイヤ窃盗団に、マークとかいう謎の外国人と「博士」、夏木陽介の外事警察がどう絡もうと、正直どうでもよくなるほどのオシャレ感。

窃盗団の女は黒髪のロングヘアにノースリーブの短めチュニックとスリムなパンツがもうオシャレ。
彼女の短めチュニックはレオパード柄のVネック。
ワルイ女を表現した柄の選び方にもかかわらず、これが黒髪によく似合って、下品にならないのが上級者。
ボスと合わせたような半袖グレーのタイトスーツも、悪役集合の画面全体のコーディネートとして、クールでステキでした。

「博士」の美人助手の「お嬢」も、ダークスーツのオヤジ共に囲まれながら、あくまでも、どこまでも「お嬢ファッション」を貫きました。

「お嬢」と「博士」と「外事警察」3人組
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この時のペイズリーっぽい柄のノースリーブ、こちらもオレンジ系で、お嬢の肌の色によく似合っています。
昨今いうところのカラーコーディネートの理論から言っても、善悪、その中間の人物像を、着ているものの色で描き分けをしているかのようで、このあたり、ただモノではない衣装係のセンスが伺えます。

外事警察のくせに、謎の外国人マークの空手チョップでのされた若き警察官が目覚めると、そこには真っ白いブラウス姿の「お嬢」が。
今年よく見る襟の詰まったラウンドネックに小ぶりなペンダントが清楚で超オシャレ。
その時点で彼女の身にどう危険が迫っているかには関係なく、彼女を自宅近くまで送る刑事の特権。
オシャレな「お嬢」は、外に出ると、そのブラウスらしきものの上には、短い襟付きのノースリーブジャケット。
これがスカートと上下のスーツになっていて色がまた上品なコーラルピンク。

ノースリーブの水色ドレス。
柄物のノースリーブのツーピース。
生地と、女優さんの身体にピッタリした仕立ての良さからして、制作予算のいくばくかにこのお衣装代がつぎ込まれていることは間違いないと思われます。
外事警察もときめく可愛い上品系衣装が美人さんによく似合います。

ほかのオヤジ全員がダークスーツにも関わらず、「博士」だけは麻らしき薄ベージュのジャケットを着ていたり、半袖グレージャケット姿の窃盗団の「ボス」もいますので、夏から秋にかかる季節とお見受け致しました。
地球温暖化が進む前の湿度の高い日本の残暑でも、警察ではこれでいけたんでしょう。

外の場面では半袖白シャツ姿や浴衣姿の普段着衣装の庶民が逃げまどったりしますので、怪獣が東京上空などに出没して初めて、本当の季節感を感じる映画ですね。

でもノースリーブを貫く間に、「お嬢」が長そで花柄プリントブラウスなどを突然着て、お茶を出したりしていますので、油断のできないオシャレさんです。
黄色を基調とした同系色の花柄に白いタイトスカート姿も、広めのラウンドネックブラウスのわずかな襟の立ち上がりがなんともレトロで可愛らしい。

後半、ダイヤを持ち逃げした窃盗団の女の方は、黒いノースリーブのドレスにハイヒールで林を分け入り、海岸を逃げまどいます。どう考えても場にそぐわない衣装なんですが、ヘプバーンのティファニーで朝食をの衣装を盛り込みたかったとしか思えません。

思わずwikiでこの映画と同年の映画のラインナップを探してしまいました。
海外映画も華やかな名作映画が多かった年ですね。
なーるほど、と膝を打ちたくなりました。

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さて、肝心の怪獣です。

どんな「大怪獣」かと思いきや、「大怪獣」が「大」だったのは、炭鉱の町、北九州上空だけでのことでした。
巨大イカのような大怪獣になった後は攻撃やら何やら受けまして、散り散りに散った水晶の玉的なものになったり、最後は「地蜂の毒」でカラフルな巨岩になって落ちてくる、という姿を変える怪獣だったのです。

「大」の時でさえ、その全貌はチラリとしか出てきません。
チラリズムの極致を楽しむのに、これほど食指を動かされる怪獣映画があるでしょうか。
もうそのものをズバッと見せつけられる何倍も、「いいんじゃないの、これ、くるわー」感が増幅されます。

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なにせイカですから、何本も触手があって、それが時折アニメ化までして、特撮もあの時代ですから、どんな風に撮ったのか、興味深くてお詳しいブログ様やwikiを散々読む羽目になったほどです。

1964年、CGもない時代に、実写だったりとても精巧に作られたミニチュアだったり、なんとアニメですらあったりする「若戸大橋」をぐしゃっと掴んでポイッとやる、なんて映像が出てくるわけです。

この部分なんて、ディズニー映画のようです。

アニメからの
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合成からの
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本当に質感のあるミニチュア
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そしてドボーン!
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あとは何といっても、「炭素」系のものを食べて生きる大怪獣が吸い上げる「巻き上げられる石炭」のシーン。
撮影は大変だったそうですが、工夫の甲斐あって今見ても自然です。


大怪獣が石炭を吸い込んでます!確かに!墨吐いてません、吸い込んでるんです!
でも粉々になったあとの身体で、どうやって摂取していたのかは、最後まで謎のままでした!
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実際の映像とミニチュアの「若戸大橋」の赤が、嫌味なく普通に繋げて鑑賞に堪えます。
潰れていく工場や町の精巧な作りには驚くほど。
何しろ作り物感で猥雑な感じが一切ないのは、空一面を覆う得体のしれない怪獣を見せるために、街全体を引いたカメラで撮っているせいでしょうか。
『スカイライン-征服』とか、『クローバーフィールド/HAKAISHA』とか、お好きな方には申し訳ないのですが、このあたりのディザスターSF映画は、見た後にどっと疲れる私ですので、レトロ系はしっくりくるのかもしれません。

宝石泥棒の話と怪獣退治が平行線で噛み合わなかったりする話ですので、そこをどう感じるかで評価も別れるところでしょう。
ラストの「博士」の旅立ちといい、子どもが見てもつまらなかったかもしれませんが、大人が見る分には十分楽しめました。


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コメント
こんばんは。

女性的視点で怪獣映画を捉えた感想がとても新鮮で興味深く拝読させていただきました。なるほどファッション面で語るとそういう見方もあったのかと懐古系特撮ファンの一人としては目から鱗の思いです。

たまたまですが私この映画を8月にスクリーンで見てまして(高知県で開催された特集上映でした)夫婦で鑑賞してたんですけど怪獣映画に何の興味も無いウチの妻が藤山陽子さん(「お嬢」の女優さんです)のワキ汗が気になってしょうがなかったらしく(^_^;)やはり女の人は目の付け所が違うなと思いましたねー。

ついでながら私はこの映画の中だと「黒髪」の若林映子さんをもっとも魅力的と感じていました(ボンドガールになる三年前でしたね)
しろくろshowdot 2016.10.15 21:06 | 編集
しろくろshowさま

コメントありがとうございます(*^-^*)
・・・特撮にお詳しい方には失笑ものの感想を、読んでしまわれたのですね。(´;ω;`)ウッ…

それにしても、あの黒髪、ボンドガールだったんですかっ!(@_@)
誰が作って誰が演じて、なんて全く気にせず、ひたすらモダンな洋服と小物に注視していたので、まさかここにボンドガールがいたとはびっくりです!

二度死んだという007は何回か見ているのですが、そういえば綺麗な日本のお姉さんが前半いたよね、と相撲のシーンを思い出しました。あのとんでもない日本のお風呂シーンだけは、映画史に残して良い映画ですよね(;^ω^)

おまけに、この映画とあの「チキ・チキ・バン・バン」の台本がダールだったとはっ!!!
wikiで見て驚愕でした。いやもう、すごい情報、ありがとうございます。

> 女性的視点で怪獣映画を捉えた感想がとても新鮮で興味深く拝読させていただきました。なるほどファッション面で語るとそういう見方もあったのかと懐古系特撮ファンの一人としては目から鱗の思いです。

私の場合、「女性視点」というより、「無知の極み乙女」なものですから、そんなことしか気が付かないということなんです。

> たまたまですが私この映画を8月にスクリーンで見てまして(高知県で開催された特集上映でした)夫婦で鑑賞してたんですけど怪獣映画に何の興味も無いウチの妻が藤山陽子さん(「お嬢」の女優さんです)のワキ汗が気になってしょうがなかったらしく(^_^;)やはり女の人は目の付け所が違うなと思いましたねー。

ノースリーブって、女にはハードルの高い服なんですよね。だから特に気になるんですよ。
女が女を見る目は、ホント、厳しいのです。

> ついでながら私はこの映画の中だと「黒髪」の若林映子さんをもっとも魅力的と感じていました(ボンドガールになる三年前でしたね)

この映画、キャスティングがいいですよね。
女優さんはどちらもはまり役で本当に美しいし、「博士」なんて、ほんとにいい味出してますし。
こんな特集上映があるなんて、良いところにお住まいですね(^^)
mikaidoudot 2016.10.15 23:08 | 編集
この映画、子どものころTVで見て全然面白くなかったんですよ。怪獣映画としてもドゴラはいわゆるゴジラやガメラに比べると迫力ないし。すごくがっかりした覚えがあります。
ところが、一昨年か昨年、DVDで見たらこれが面白い!
ドラマを楽しみました。
特撮だって、けっこう凝っているんですよねぇ。
要はギャング映画、大人向けというわけでして。
藤山陽子はTV「青春とはなんだ」で夏木陽介の相手役をやっていてファンでした。再放送で視聴していた世代ですが。
keidot 2016.10.16 13:09 | 編集
keiさま

うっ!
やはり怪獣もの、スルーしては頂けなかったのですね。
お恥ずかしい限りです(;^ω^)

> 特撮だって、けっこう凝っているんですよねぇ。
> 要はギャング映画、大人向けというわけでして。


やっぱりそうですよね。
これは大人が見て十分面白い不思議な怪獣映画だと思うんです。
怪獣の見せ方なんて、今でも通用するんじゃないでしょうか。
話はともかく、美術や小物のスタッフもセンスのある方々だったのだと思います。

> 藤山陽子はTV「青春とはなんだ」で夏木陽介の相手役をやっていてファンでした。再放送で視聴していた世代ですが。

藤山陽子はカッコよくて素敵ですね。
この映画で彼女が着ていた服はどれもモードで海外の女優さんのようでした。
衣装さん、頑張ったのでしょうね。

日本映画がこんなに面白いとは知りませんでした。
我が家のテレビのHDがもう一杯になるほど、取りためているので、
まだまだ見なくては~~~( ;∀;)
mikaidoudot 2016.10.16 21:59 | 編集
鍵コメさま

見てきましたよ~~~!
何て素敵なブログ様でしょう。
眼福でした!
ありがとうございました!
mikaidoudot 2016.10.18 22:24 | 編集
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