2015
06.21

ハーレムパンツ

Category: TV番組
このところ、ダウントン・アビー(Downton Abbey)にハマっている。

以下はネタバレも含みますので、ご覧になっておられない方はスルーでお願いいたします。

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登場人物の鮮やかさ、風景、屋敷、衣装の美しさ。
タイタニック号沈没のニュースで始まる20世紀初頭の世相を盛り込んだストーリー展開。
どれをとっても面白くないわけがない。

私が見ていて一番気持ちが良いと感じるのは、当主グランサム伯爵をはじめ、「心ある人間」が各所に必ずいるところ。
巨大な渦を巻く人間模様と次々に起こる事件、その波紋に疲れることがないのは「良心」という救いがあるからだ。

見ているこちらは、そんなに旨いこといくものかと思いつつ、勧善懲悪を望んでいることにいつの間にか気が付く。
視聴者の希望を叶えることもあれば思い切り裏切ることもある。
そうして壮大なツンデレの世界へと誘い込まれてしまうわけだ。

群像劇なので、誰か一人に共感を覚えるということは難しい。

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グランサム伯爵夫妻


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夫妻の3人娘

強く、魅力的だが複雑な内面を持つ長女。
姉の影のような自分への劣等感と戦う次女。
女性解放を胸に秘め、新しい時代を切り開こうとする三女。

『「若草物語」のように仲の良い姉妹になるかと思ったら・・・。』と伯爵夫人が嘆くシーンもあった。

何故「若草物語」?と思ったら、伯爵夫人はアメリカの大富豪の娘だった。
で、伯爵夫人コーラのお母様役は、なんとシャーリー・マクレーン。

ハリー・ポッターシリーズではマクゴガナル先生を演じたマギー・スミス演じるグランサム伯爵の母との、丁々発止の戦いが見もの。

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伯爵夫人と娘たち

さて、私がシーズン1で目を見張ったのが三女シビルの仕立てた新しいこのドレス。

ダウントン・アビーのドラマ中のこのシーン。
ニジンスキーもバレエ衣装にしたハーレムパンツが女性用にデザインされ、「女性参政権運動」に傾倒していた伯爵令嬢が自分らしいドレスをと、このデザインで作らせた。
それを初めてお披露目する、写真はそういう光景なのである。

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使用人も家族も茫然。

伏線として、三女シビルがドレスを作っている話が数回家族の話題に出ている。
シビルはコルセットを「苦しいから緩めて」、とメイドに頼む。
コルセットからの解放。
ココ・シャネルの時代へと向かう萌芽。
そして皆が食事会に出かけようと待っているところへこの斬新なパンツスタイルで現れる。

どなたかの衣装を思い出しませんか?
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ラルフ・ローレンマガジンサイトより
http://www.ralphlauren.co.jp/rl-magazine/downton-style

こちらにダウントン・アビーのコスチュームデザイナー「スザンナ・バクストン」さんのインタビューが一部掲載されている。


「優れた服が最高の仕事をするのは、ファッションに驚く瞬間-例えばシビル婦人がポアレに触発されたターコイズ色のハーレムパンツ姿でディナーに現れた時-です。着る人の性質について本質的真理を明らかにするのです」



確かに服はその人を表す。
時に、本質を。


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Downton Abbey Fashion – Lady Sybil – Paul Poiret and those Harem Pants
http://glamourdaze.com/2012/10/downton-abbey-fashion-lady-sybil-paul-poiret-and-those-harem-pants.html
こちらから超意訳。


「ポール・ポワレのハーレムパンツ」と呼ばれるこの衣装が、一躍有名になったのは1911年。
バレエ・リュスの「シェヘラザード」からインスピレーションを得たことは否定されていない。
ポワレの才能はこれを婦人用のパーティードレスとして採用することを良しとしたが、偶然にもそれは20世紀の「女性政党」(女性の自立)にふさわしいドレスを生み出すこととなった。



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http://glamourdaze.com/2012/10/downton-abbey-fashion-lady-sybil-paul-poiret-and-those-harem-pants.html
写真は上記サイトからお借りしました。

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真央シェヘラのパンツ衣装、人気もあったが、歴史もあったわけで。

点と点がつながると本当に面白い。


シビルの新しいドレス、やはり元はシェヘラザードからヒントを得たものだったよう。

女性参政権集会に参加したり、自ら政治活動家を称する運転手と駆け落ちしたりと当時の先端を行くシビルは、子供を産むと同時に命を落とすが、これは自らの女優生命を考えたシビル役のジェシカ・ブラウン・フィンドレイの希望による降板のためだそうだ。

シビル役のジェシカ、とても素敵な女優さんなので、これからもテレビや映画に引っ張りだこかもしれない。


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2015
06.05

ホワイトヘヴンの方へ

ホワイトヘヴンは名探偵ポワロが住むマンション。

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本では便利の良いロンドンの中心地にあるような描写だったはずだが、TVシリーズのこちらは閑静な場所にあるらしい。


取りためているポワロの1時間シリーズを繰り返し見ながら、
TVシリーズにしかない謎を楽しんでいる。

こちらのお二人
原作よりTVシリーズで大活躍のヘイスティングス大尉とミス・レモン。
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素敵な車を「4階の部屋」事件で犯人にスクラップにされ、
ポワロがポケットマネーで車代を出そうとしたり。
「イタリア貴族殺害事件」では購入済みで納車途中の車をぶち壊されている。
この時は銀行の支払いを停止するとは言っていたが。

外車を乗り回し、演劇を楽しみゴルフに興じる。
働いているとしたらポワロの助手として。
軍からの年金だけでは無理なはずなので、どう考えてもTV版ではポワロから報酬を貰っていなければあの生活はできないのでは。
だからポワロがヘイスティングスを紹介する時は必ず「パートナー」と言っていたのでは。
つまり報酬は折半かそれに近い状態にしていたのではと。
TV版では、ですが。
勝手に想像。

名士のご友人も多く、有名人に詳しいヘイスティングス。
原作では経済的には自立していたはずの彼が、TV版では破産したり投資に失敗したりと、波乱万丈の人生だ。
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秘書のミスレモンのヘアスタイル
前髪、どんな仕組みになっているのか不思議。

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ミスレモンの衣装は、出番の多かったエンドハウスの事件の時が一番好きだった。

スーシェのポワロシリーズのファンで、レトロファッション系のブログがいくつかある。
ミスレモンが「働く女性のスタイルアイコン」だと書いていらっしゃる。
もちろんポワロのページもアリ。
写真を数点お借りいたしました。
Style Icon for the Working Woman – Miss Lemon
http://www.retrochick.co.uk/2011/03/16/style-icon-for-the-working-woman-miss-lemon/

お帽子が素敵ですわね。

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今の独身女性と変わらず、流行りものに強く物知りだったり。
「負け犬」の催眠術。
「エンドハウスの怪事件」では降霊術(のふり)。
ヘイスティングスとコックリさんもしてたわね。
「スズメバチの巣」では昼休みにフィットネスクラブへ行くミスレモン。
一緒にいかが?と言われて怒るポワロさん。

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「イギリス貴族殺害事件」では上と同じスーツでデートにお出かけミスレモン。
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「ジョニー・ウェイバリー誘拐事件」の冒頭
ミスレモン独自のファイリングシステムは素晴らしく。
相互参照可能なデータファイルを作っている。

証人の名前
犯人の名前
被害者の職業
事件の種類(誘拐・薬物中毒・不倫・爆弾etc・・・)
5通りから調べられると言っているが、あの引き出しの数から言って、
そこから細分化された事件の種別は常人には理解不能かもしれない。
事件の種類まで、アルファベット順だったし。
あの数の引き出しに入っているのは大きさからいって事件のデータをカード状にしたものだろう。
資料そのものはラベルを付けて別に保管してあると思う。
相互参照可能、ということは、それだけの数と内容の事件データカードを作成したということだ。
コピー機が無かった時代、あのタイプで?
それとも、手書きで?
何気にすごい。

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ポワロお得意の「秩序と方法」は、ミスレモンのためにあるような言葉。
同じクリスティの手によるパーカーパイン氏の元にいたミスレモンとは別キャラだと私は思っている。

絵画も色々。
シャガールも。
モダンアートも。
アールデコ
家具調度品
ポワロが競売でアンティークの鏡を買いに行ったり。

クラッシックなモノポリーとか
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これ、駒が小さな可愛い銀のブーツ。
ポワロさん、負けず嫌いなので、最後はちゃんとオチも用意されている。

PoirotがParrotを押し付けられる「ダヴェンハイム失踪事件」
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この事件の最後、ポワロ特製の鳥料理が振舞われる。
鳥にナイフが入れられるたびにオウムが鳴く。

ヘイスティングスがインド料理好きで、コメを食べることに感心しないポワロ。
ママンの味を再現したポワロのウサギ料理に、「ウサギらしい味がする」と無理やり感想をひねり出す、ヘイスティングス。

食事のシーンは多いが、こちらは完全に原作のイメージ勝ち、か?

ミス・レモンがジャップ警部がホワイトヘヴンに泊っていた時に作った料理は、女性らしく、いかにもヘルシー。
そのジャップ警部も自宅でポワロに「これが本物のイギリス料理ってもんだ」と得意げに料理をふるまう。
ポワロ、大ピンチである。

料理に関しては、火花散る攻防が続く。


素敵な場所(お城?美術館?)で最愛の女性とデート。
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故郷ベルギーを舞台にした「チョコレートの箱」で一番好きなシーンから。
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ポワロの警察官時代のお話。

初恋の女性(?)からプレゼントされたあの「花瓶のピン」

このピンの入っている美しい入れ物、グランドメトロポリタンの盗難事件の冒頭、寝込んだポワロの枕元にも置いてある。
ポワロ思い出の宝物。

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いつも付けていたこのピンですね。
お花は随時変わります。
紫色の花の時は本当に素敵でございました。
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原作とは関係ない小ネタに、製作者の腕のふるいどころがあるわけで。

そこがファンにも突っ込みどころで。



ポワロが「ちびガメ」とか
「ちび蛙」とか
ひっどい言われようなところを聞きたくて、吹き替え版を英語音声にして聞くとか。
翻訳ではいつも「ベルギーの小男」だったけれど、バリエーションが色々あったのね。

こちらに素晴らしいTV版ポワロシリーズ全70作品の解説などがございました。
http://www.agathachristie.com/poirot-tv/

ところで今回のタイトル、
ご存知の方なら「あれ?」でございましょう。

この本で、何度深夜の散歩に出たことか。

深夜の散歩―ミステリの愉しみ (ハヤカワ文庫JA) 文庫 – 1997/11
福永 武彦 ・丸谷 才一・中村 真一郎 (著)



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