2013
04.28

独走くん

Category: スポーツ
「夏服を着た女たち」アーウィン・ショー

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この短編集を私は何度も読んだはずだ。

常盤新平さんが大好きで、彼のエッセイ、彼の翻訳を探しては読んでいた。

ところがこの小説に関してはアメリカの1920年代から30年代あたりの短編だということと、アメフト選手が独走する時の気持ちが鮮烈に描かれていたことしか記憶になかった。

このところ息子の部活を見ているためか、この短編のことばかりが思い出されて。

ようやくタイトルを思い出した。

「80ヤード独走」。

この短編を読んだのはまだ若い時だったため、私は主人公が一番輝いていた時の一節をよく覚えていたのだろう。

試合で「80ヤードを独走」したことは、アメフト選手だった主人公の栄光の印である。
年齢を重ね、彼は思いもかけない人生の辛苦を味わう。
家庭を維持するための努力は、彼の輝かしかった日々が「間違ったことを練習していた」と感じる結果になる。
それでも、生きていかなくてはならない男の話。

多分、今読んだならちょっと物寂しくなる話には違いない。

息子はこれと似たような競技をしているが、息子のチームにも「独走くん」がいて、試合のたびに保護者の群れからキャー!と声援を浴びている。

競技場への送迎時、「独走くん」を乗せる機会があったので、興味深々、彼と息子の会話を聞いていた。

「あああ・・・・また練習だよ・・・試合だよ。なんで同じ日に1日かけて練習も試合もするんだよおお・・・。いやだ、もうすぐ競技場だよ~・・。」

えっ?「独走くん」、部活が嫌いなの?

よく話を聞いてみると、独走中の彼の心中は非常に複雑らしい。

「俺が走る役なのはわかってるけど、このまま俺が走っていいのか?相手はどこまでついてきてるのかわかんないし。どうしよう?どうしよう?これでいいのか?俺?」

こんな気持ちなんですと。

「みんなが応援する声、聞こえてないの?」と聞くと

「何も聞こえない。」

必死なんだ。かわいいなあ。

独走することは、彼にとって「気持ちのよいこと」ではなく、「ドキドキして、怖い」ことなのだそうだ。

鬼ごっこで逃げるとき、ちょっとドキドキ怖くておもらししそうになっちゃう気分なのと同じなのかい?

小さなチームの「独走くん」は、試合ではかっちょいいのだが意外な繊細くんっぷりだった。

選手のきもちは、見ているだけではわかんない。
中学男子のきもちもわかりにくい。

ポーカーフェースの下に隠した「必死」は、おばちゃんのハートをギュッとつかんだよ。

ごめんね、すっかり楽しんじゃって。





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2013
04.14

男前な引き際

Category: 浅田真央
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浅田選手が、会場の手拍子に支えられるようにフリーを演じ切った。

丁寧に花束を拾う姿に、「ありがとう」っていう真央ちゃんの気持ちが伝わった。

彼女は若く、天然で、こんなにも愛らしい人なのに、「生き様」を見せてくれる男前だ。

なんとも言えない気持ちで、昨日から涙がほろりほろり。



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